第14話

仮面の薬師
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2021/03/28 07:20
モブ1「なぁ、知ってるか?お前」
モブ2「なにが?」
モブ1「仮面をつけた薬師の話だよ。」
モブ2「ああ、あの噂か」
モブ1「最近、有名になってる仮面の薬師が作った薬。今爆発的に下町の人達を中心に売れてるあの薬だよ。」
モブ2「ああ、効き目が凄いらしいな。」
モブ1「凄いってもんじゃねぇぞ、あれは奇跡だ…」
モブ2「お前、まさか…」
モブ1「ああ、…先日俺の母ちゃんが病気に掛かって困ってたんだが…」
モブ1「ネットで仮面の薬師に依頼して、届いた薬を母ちゃんに飲ましたら、次の日の朝、母ちゃんがすっかり元気になったんだよ!」
モブ2「マジかよっ!?」
モブ1「ああ、アレは凄い…この世の物じゃねぇ…」
ーーー
仮面の薬師は、勿論律の事である。
薬の入手方法は簡単。
仮面の薬師のウェブサイトをネット・ケータイで、自分が今(体調が)どの状態なのかを薬師の個人メールで書き込む。
そして、薬師との質問をやり取りをして…結果が分かると、薬師の薬が配達で届く。
ちなみに、配達はかなり特殊でコレも話題となっているが…
「薬師の使い魔」と周りから言われるモノは薬の配達をしている。普通の紙に陰陽術をかけた動物の形をしたモノ。
モノは…配達場所によって、多数の鳥…時には狼などに姿を変わる
ただし、薬の入手には条件がある。2つある
1つ目、それは…
体調が悪いと、(依頼者側が)嘘をついて薬をただの商売目的の為に入手しようとすると、仮面の薬師とのやり取りが出来ない。
つまり…薬は本当に必要な者でない限り、手に入らない。
まるで、取引相手の(目的が嘘をつけれないように)様子を観察されているかのように…
2つ目…
薬を飲む時、必ず「薬師の使い魔」の目の前で飲ませること、
これは、ただの病気なら問題は無いのだが…もしも、
悪霊…もっと恐ろしい大物のバケモノである怪異などに取り憑かれてた場合の対応として…
薬を飲ませた後
使い魔が薬師に報告し、薬師がその患者の元にやって来る。
簡単な説明として、「凶悪なゴーストが取り付いているから…」と言い、憑依している恐ろしいモノを払うだけ。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
律は、授業の休憩時間にクローリーに買って貰ったスマホで、仮面の薬師として自分のウェブサイトを早速、開いて依頼者達の受信したメールを見ていた。
律(今日は…クルーウェル先生の教室で、アレとアレを作らないと…)そう考えていると…
リドル「おや?律…?」
律「あ、リドル先輩…」
律「…お久しぶりです。」
リドル「うん、久しぶり。」
リドル「最近、会ってないから心配だったんだ。」
リドル「あまり、無理はしてはいけないよ。」
律「わ、分かりました。リドル先輩…」
リドル「…本当かい?(¬_¬)」
リドル「君の、わかりました。は、なかなか信用が出来ないよ(はぁー)」


リドルは、軽く呆れたため息を吐く
律「(( ̄▽ ̄;;)ア、ハハハハ…」
律「…でも、今は自分なりの目的を見つけて頑張ってるので…多少の無理は仕方がない気がします…。(´-∀-`)」
リドル「そうかい…なら、」
律「?」
リドル「もし…気を休めたい時は、いつでも我が寮のお茶会においで。」
律「っ、」
リドル「君なら、いつでも大歓迎だよ^^*」
律「あ、ありがとうございます^^*」
律は、心から1粒の暖かい温もりが(ぽわ…)と、温かくなるのを少し感じた。


律(この温もり…なんだろう。なんだっけ…)
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
クルーウェル「子犬、今日はどんな効果のある薬を作るんだ?」
最初に、薬を作る前クルーウェルには目的、悪霊などの存在をクローリーやトレイン等の教師辺りには今起きてる噂の事実を全て話した。
だから、クルーウェル先生は律が「仮面の薬師」だということを勿論知っている。
律「今日は、この薬の効き目や作り方について…」
ー〜
クルーウェル「成程…この薬は、こんな使い方が…」
律「はい、そして…」
2人だけの時間。クルーウェル自身はこの時間が今1番の癒しである。
クルーウェル自身の知らない知識が、どんどん出てくる。そして…自分の知らない薬の応用が沢山ある。
それだけで、胸が踊る。
クルーウェル「子犬…いや、律」
律「は、はいっ、先生。どうしましたか?」
クルーウェル「お前は、一体どうしたら、そこまで成長出来る?」
律「…へ?」
クルーウェル「お前が、尋常ではない努力をしたのは勿論…どうしたら、ここまでに至るのか疑問になってな。」
律「…自分の戒めに近いですね…」
クルーウェル「…戒め?」
律「昔、周りの人達を重症にさせてしまって…、」
クルーウェル「……」
律「クルーウェルには、私が陰陽術が使える事は話しましたよね。」
クルーウェル「ああ、魔法に近い原理の人ならざらぬ力だったか?」
律「はい…、その力を制御出来なくって…」


クルーウェルは、その話を聞いただけで、その後医学を学ぼうと思い立ったことは、すぐに読み取った。


クルーウェル(そう言うことか…)
クルーウェル「それでも、周りを傷つけてしまった理由は…何か事情があるのでは無いか?」
律「っ、」
クルーウェル「やっぱりか、」
クルーウェル「魔法と一緒にしていいのか分からないが…」
クルーウェル「魔法は何らかの理由でパニックを起こすと、その魔法は魔力を制御出来なくなる。」
クルーウェル「つまり、コントロールが出来なくなる。」
クルーウェル「そのトラウマが今もこびり付いていたとしても、」
クルーウェル「いつかは、きっと…そんな日も…仕切りがつくだろう」
クルーウェル「現に、(この世界で)死にかける前にもお前は陰陽術とやらの力をコントロール出来ていたじゃないか。」
クルーウェル「お前は、成長出来ている。だから、大丈夫だ」
律「せ、先生…っ、(うる)」
律は泣きそうになった。あの後悔して病んで病んでたまらなかった日々が頭に浮かぶ。
律「ありがとうございます…クルーウェル先生❀.(*´▽`*)❀.」
律は、この胸の温もりが何なのか分からないが…悪い気分ではないな。と思った。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
次回

ヴィル「…はぁ〜、これとか全然ダメね。」


机の上には、沢山の化粧品が並べてあった。


ヴィル「誰か、この化粧品以上の物を用意してくれないかしら…」
そう呟き、頭を悩ませていた。

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