『ごめ………ん、守れ……な……くて……
俺の……分……ま…で…生き……て』
『嫌だ、嫌だ、………〇〇〇〇』
『早く………行っ………て……』
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またあの夢を見た
この仕事をするようになって何回目だろう
〇〇〇〇の部分が思い出せない
大切な人の筈なのに
何かこの夢は、とても悪いことを予兆しているようだった
愛用しているパソコンに電源を付けて仕事を確認する
いつも仕事の時はここのカフェのブラックコーヒーを飲む
はぁ……またナンパか……
男子の格好してんのに何でだよ
コイツホモなのか?
ジェルとか言うやつの反省の弁が聞きたくなかったので、残っていたコーヒーを流し込んでそそくさと店を出た
時計を見たらもう5時を回っていたので、家に帰って準備することにした
そう、死は僕……私の日常
バコン(ドアを壊す)
僕は他に何も言われないようにそそくさと死体が転がっている倉庫を後にした
ガッ
一瞬自分が何をされているのか分からなかった
僕は能力を使って逃げようとした
僕は逃げるために暴れた
パンッ
痛みが走ったところを見ると、肩に血が滲んでいた
かなり深いかもしれない
パンパンパン
弾が、僕の太腿、手、頬を掠めていった
僕は立っていられずに座り込んだ
誰にも聞こえないようにそっと呟いた
何で、仲間でもない僕の事を助けてくれるんだろう
そこで僕の意識は途絶えた
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編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。