皆さとみくんの話を聞いた後、声が出なかった
僕も喉が閉まったみたいに声が出なかった
皆には、最年長としてお兄ちゃんみたいに接していて、なのにそんな過去を抱えているなんて思いもしなかった
兄ちゃんがみんなの前に出た
ギュッ
兄ちゃんがさとみくんを抱きしめたのだ
さとみくんは、少しびっくりしたような顔をして固まっていた
そう言って優しく笑った
透き通った青い目には涙が浮かんでいた
僕はバックから取り出したハンカチをさとみくんに差し出す
さとみくんの目から涙が溢れだしてきた
もう全員うるさいんだけど…………
大きく息を吸い直すさとみくん
皆、仲良いな………………
こんな日がずっと続けばいいのに
そんな小さな願いが儚く散るなんて、この時には夢にも思わなかった
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。