第9話

8話
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2018/11/05 14:26
「先生いなかったの?」

「いなかったっす。まじかあの先生……国語準備室とかないしどこいるんだよ……」


片桐くんが途方に暮れたように独りごちる。
しかし私の存在を思い出したようで、突然笑顔になると「じゃ、失礼しまーす」と言い足早に去っていこうとした。


平気なフリしてるけど……アテないよね、多分。


「待って!」


自分の口から言葉が飛び出した。
片桐くんに不思議そうな表情で見つめられる。私は頭をフル回転させて、それっぽい理由をぶつけた。


「私も、谷先生に用があったの思い出したの。一緒に捜してもいい?」

「――そうなんすか!?もちろんいいっすよ!捜し行きましょ!」

「うん」


良かった、信じてもらえて。
顔には出さずホッとして、私は片桐くんと谷先生を捜し始めた。

校舎内を歩き回り、それぞれの友達や先生と出会ったら姿を見かけなかったか聞いて、また歩き出す。


昼休みがもうすぐ終わるという頃、ようやく谷先生と会うことができた。
先生はなんと生物準備室で生物の先生と世間話をしていた。どうりで見つからないわけだ。


「谷先生、あの、今日提出って言われてたプリントを家に忘れてしまって……明日の朝出すのでいいですか?」

「ほぉ……やったのはやったんだな?」

「……は、はい」

「そうか。次から気をつけろよ」

「っはい!」


……あれ絶対やってないでしょ。
安堵が漂う片桐くんの晴れやかな笑顔を見ながら、谷先生って騙されやすいんだな、と学んだ。

ふと、片桐くんが私を向く。


「そういえば、先輩も谷先生に用があるんでしたよね?」


――あ。忘れてた。

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