昼休みの教室は騒がしいので、何を話しても他の人に聞かれることはない。
だから、私は告白されたことを茜と空に話した。
「え!?片桐くんに?マジで!?」
「返事どうすんの返事ー!」
とか言われるんだろうなと思いきや。
「あー、やっぱりか。片桐くんあなたにめっちゃ懐いてたもんね」
「予想通りだねー」
なんて全く意外じゃなさそうに笑われたので、割と結構困惑した。
「で、どうすんの?返事」
茜から想定と真逆のテンションで聞かれ、むしろこっちがテンション上げてやろうかと思ったが、疲れるだけなので普通に答えた。
「断るよ。その場で断ろうともしたし。そしたら、『返事はいつでもいいんで!』って言われて逃げられた」
「へぇ……“いつでも”。こりゃ長期戦に持ち込む気だな」
「あんたそれ断るつもりならしばらく答えなくていいと思うよ。振られるのって辛いから。まぁOKすれば万事解決なんだけど」
「いや、しないよ。冗談だろうしさ」
「「冗談?」」
本気で言ってんのか、みたいな顔をされた。
……双子ってここまで反応が似るものなんだな。
「だってさ、この前――……」
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!