第3話

2話
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2018/11/04 12:19
「せんぱーい!」


学校の廊下を一人で歩いている時、後ろから片桐くんの声がした。
振り返って、笑顔で走り寄ってくる片桐くんに言う。


「何?」

「あの、オレいっこ上に好きな人がいるんですけど、その人もうすぐ誕生日なんですよ!」

「おお。そうなんだ」

「はい!それで、先輩だったら何もらったら嬉しいのかなーって。好きな人と同い年だし、感覚も近いと思うんで参考に」

「なるほど……。んー、あ、シャーペン。私0.3のが壊れたから新しいの欲しくて……好きな人も、シャーペンとか文房具系ならもらったら嬉しいんじゃない?使えるし」


そう言うと、片桐くんは満面の笑みを浮かべた。


「いいっすね!ありがとうございます!ちなみに先輩はどんなの買おうと思ってるんですか?」

「どんなのかあ……青色だったらなんでもいいや。書きやすいやつかな」

「分かりました!」





「で、結局『好きな人に渡せなかったんで先輩にあげます!今日誕生日ですよね?気ぃ遣わないでもらってほしいです!』とか言われて、青いシャーペンくれたし。よく分からない子なんだよ」

「いやそれ最初からあんたにあげるつもりだったでしょ」

「それな。さりげなくあなたの好きな物聞き出そうとしたんじゃん」

「うそ」

「「マジ」」


きっぱりとハモられた。
私は反応に迷った結果、無言で椅子の背もたれに寄りかかってパックジュースを飲んだ。
桃の優しい甘さで、少し心が和らぐ。


「普通にいい子だよねー。片桐くん」

「付き合えばいいのにねー」

「ねー」


二人の会話を聞き流しつつ、私は片桐くんの顔を思い浮かべた。
……いつも笑ってる明るいあの子に好かれてるなんて、信じられないけどなあ。

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