第10話

9話
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2018/11/16 09:47
「そうなのか?」

「……えーと、その…………先日やった模試で、分からない所があったので、今度教えてもらっていいですか?」


頑張って捻り出した理由は、そんなものだった。
馬鹿か私、それを頼むのは普通二年部の先生にだろ。一年部の谷先生に頼むなんて不自然すぎる。


「おう、いいが……ん?頼みに来ただけか?問題用紙は?」

「……問題は今日は家にありまして」

「ほーん。持ってきた時に俺んとこ来れば良かったのにな。二度手間じゃねえか」

「……あはは」


全くもってその通りで。
片桐くんの視線が痛くなってきたし、そろそろ去りたいところだけど……。

その時、5時間目開始5分前のチャイムが鳴った。


「あっ、しまった次移動だった!すみません先生、失礼します!片桐くんもごめん!またね!」


できるだけ自然を装い生物準備室から駆け出る。
教室へ走って戻る間、心臓のバクバクという音がずっと響いていた。

わざとらしくなかったかな、ちゃんと演技できてたかな。次が移動っていうのも嘘なんだけど気付かれてないよね?


不安はあったが、わざわざ確認するわけにもいかない。気にしていても仕方がないと、私はそれを脳内から追い出した。

――本人に気付かれていたとも知らず。





「……あー、好きだなぁ……」

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