翌日。
登校していれば、偶然見つけたピンク髪の人。あの人は確かバレー部の……。と思ったけど、無視しようと思ってその人の横を通り過ぎた瞬間。
と声をかけられる。無視しようと思ったけど、思い出すのはこの人が先輩だという事実。あー、もう。
少し面倒くさくなりながら、少し睨みながらそう言えば、
ケラケラ笑って言うその人の性格は、明るいだろうなと思った。って、待って、話したいって何?
どこか含みのある笑いを浮かべているその人。ただ黙ってその人の様子を伺っていれば、「あっ」と声をあげるその人。
あー、やっぱり。どっかで見たことあると思ってたんだよな。
苦笑気味に花巻先輩が言う。まぁ、隣であんなに騒がれてたら、見ちゃうもんね。
と、聞かれたので、嫌々、先輩だからということで教えることにした。
そう言って、そっちの方向を指差す。そしたら、花巻先輩は、少し驚いたような顔を見せたあと、あの笑顔で、
そう言って立ち去ろうとしたけど、ついてくる花巻先輩。
思い切ってそう言えば、花巻先輩はきょとんとしたような顔で、
なんて言うもんだし、きっとこれ以上言っても無理だと思い、溜め息をつく。
その時。ぐぅぅとかなり大きな音でお腹が鳴る。待って、流石にこれは恥ずかしい……と思って顔を逸らせば、
ケラケラ笑ったと思ったらいきなりそう言われ、不思議に思いながらも両手を差し出す。すると、私の手に置かれたのは、小さいチロルチョコ。
驚いて花巻先輩を見れば、ニカッと笑って、
なんて言われる。……とてもありがたかったし、嬉しい差し入れに私は少し笑う。
それを見た花巻先輩は、顔を赤くして、
と言って、途中の道に走って帰っていった。なんで顔赤いんだろ……そんな疑問を抱きながら、花巻先輩から貰ったチロルチョコを頬張った。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!