第6話

帰り道にチロルチョコ
1,353
2018/07/05 10:54
翌日。
登校していれば、偶然見つけたピンク髪の人。あの人は確かバレー部の……。と思ったけど、無視しようと思ってその人の横を通り過ぎた瞬間。
花巻貴大
花巻貴大
あ、君って確か……。
と声をかけられる。無視しようと思ったけど、思い出すのはこの人が先輩だという事実。あー、もう。
あなた
あなた
……なんですか?
少し面倒くさくなりながら、少し睨みながらそう言えば、
花巻貴大
花巻貴大
まぁ、そう睨むなって。話したいだけだよ。
ケラケラ笑って言うその人の性格は、明るいだろうなと思った。って、待って、話したいって何?
あなた
あなた
なんですか、話したいって。
花巻貴大
花巻貴大
そのままの意味だけど?
どこか含みのある笑いを浮かべているその人。ただ黙ってその人の様子を伺っていれば、「あっ」と声をあげるその人。
花巻貴大
花巻貴大
俺、花巻貴大!ちょっとは、男子バレー部で見たことあるかもだけど。
あー、やっぱり。どっかで見たことあると思ってたんだよな。
あなた
あなた
はい、あります。私は……
花巻貴大
花巻貴大
あー、いいよ、別に。知ってるし。
苦笑気味に花巻先輩が言う。まぁ、隣であんなに騒がれてたら、見ちゃうもんね。
花巻貴大
花巻貴大
方向どっち?
と、聞かれたので、嫌々、先輩だからということで教えることにした。
あなた
あなた
右です。
そう言って、そっちの方向を指差す。そしたら、花巻先輩は、少し驚いたような顔を見せたあと、あの笑顔で、
花巻貴大
花巻貴大
俺もそっち。
あなた
あなた
そうなんですか。それじゃ。
そう言って立ち去ろうとしたけど、ついてくる花巻先輩。
あなた
あなた
……なんで着いてくるんですか。
思い切ってそう言えば、花巻先輩はきょとんとしたような顔で、
花巻貴大
花巻貴大
え、おんなじ道だから。それに話したいって言ったじゃん。
なんて言うもんだし、きっとこれ以上言っても無理だと思い、溜め息をつく。
その時。ぐぅぅとかなり大きな音でお腹が鳴る。待って、流石にこれは恥ずかしい……と思って顔を逸らせば、
花巻貴大
花巻貴大
はは、部活終わりってめちゃくちゃ腹減るもんな。
手、出して。
ケラケラ笑ったと思ったらいきなりそう言われ、不思議に思いながらも両手を差し出す。すると、私の手に置かれたのは、小さいチロルチョコ。
あなた
あなた
驚いて花巻先輩を見れば、ニカッと笑って、
花巻貴大
花巻貴大
それ、やるよ。
なんて言われる。……とてもありがたかったし、嬉しい差し入れに私は少し笑う。
あなた
あなた
ありがとうございます。
それを見た花巻先輩は、顔を赤くして、
花巻貴大
花巻貴大
あ、お、俺こっちだから!
と言って、途中の道に走って帰っていった。なんで顔赤いんだろ……そんな疑問を抱きながら、花巻先輩から貰ったチロルチョコを頬張った。

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