第7話

No.7
1,083
2020/12/30 15:25















_____西園寺律子_____





それは、私の父方の祖母にあたる人であり、
代々続く西園寺家の、全ての舵を握る人。
先代から、若干19歳で、経営権を譲り受け、
その後半世紀に及んで


西園寺ホールディングスを支えてきた。




そして、家族を徹底的に操り、
自らの策略に陥れていく、まさに西園寺家の女王。
いや、悪代官、悪の権化、の言い方が正しいか。笑




そんな彼女に翻弄されて、
今は亡き、


彼女の旦那であり私の祖父であった人をはじめ、
彼女の一人息子である私の父、嫁である私の母
そしてその子供である私と、双子の妹弟。
皆、彼女の手の上で転がされてきた。














私だって、生まれてこの方、
ずっと隠されて生きてきた訳じゃない。
約5年前までは、責務を全うしてきた。
ちゃんと、西園寺家の跡取りとして、
それなりに、立ち振る舞ってきたつもりだったの。




でも、天下の女王は、


無愛想な私の性格を気に入らなかったらしく、
「貴方は西園寺家に相応しくないわ」とバッサリ。
一気に家庭内ランクを引き下げられ、世から隠された。




父も母も、何度も私をもう一度世に…と、
頑張ってくれたけど、頑固な女王は意志が強い。
そう簡単には曲げられない鋼みたいな人なのだ。










そうこう考えてる内に電話が切れてしまった。
まずい。これはまずい。
こうなった時、10分待って折り返すと、
いつも、何とか収集がつく。
…とは言いつつも、5分の説教付きだけどね。




すぐ折り返しても、「無視したのか」と怒られるし
結構経ってから折り返せば


「無職のくせに生意気な」と言われる。
それを言うなら無職にしたのはアンタだろ、ってのは


心の中に秘めておくとして、、





いつも通り10分経ってもう一度、かける。
すると、すぐに出た。





律子〈あぁ、私です。〉
『…はい。お疲れ様です名誉会長。』
律子〈貴女今どこにいるの?〉
『今は本殿の自室です。』










本殿というのは、先代が建てた屋敷の事で、
その建物には、私たち家族と、


父のいとこに当たる人が家族と共に住んでいる。










律子〈あぁ、近いわね、じゃあ至急
別館4階のひいらぎの間に来てちょうだい。〉
律子〈お客をお待たせしてるから、2分で来てちょうだい。〉










……馬鹿な。


こっから別館てどんだけ離れてると思ってんだ、、
2分って、、、




律子〈じゃ、待ってるわよ。〉




ブチッッ



『……はぁ、』
[…お嬢様。お車用意致しました。別館までお連れ致します]
『……ぁあ、ありがとう、』













あぁ、今度は何言われるんだろう、
これ以上私の自由を奪わないで……!

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