結納と呼ばれるものをして、
挙式、披露宴の日取りをおさえて。
白無垢とドレスを特注で。
ティアラは西園寺家代々伝わる由緒あるものを使って。
満身創痍で意識さえ遠のきそうな、
仮にも新婦の私を差し置いて、
周りの人間が、あれやこれやと決めていく。
黒幕は言わなくてもわかる、あの鉄の人。
そんな私の隣には、岩田がいて、
岩田も岩田で、どうやら発言権がないようで。
当事者が入る余地のない結婚式打ち合わせなんて、
未だかつて無いだろうね。なんだよこれ。
愛も幸も微塵もない式典の打ち合わせは進むばかり
そして、置いてけぼりの当事者たち。
律子「それではこのプランで進めていきましょう」
祥雲「そうしよう。」
律子「…さ。そうと決まれば…。」
律子「あなた、今から私に付いて来なさい。」
『…はい。』
祥雲「お前は、今日から当日まであなたさんに会うん
じゃないぞ。」
剛典「…はい。」
あー、今から美容ざんまいってわけね。
普段から気を使ってるつもりなんだけど
まだ何が足りないっていうの…。笑
会場を出ると、黒のロールスロイスが目の前に。
この車、まじで何回乗ったことか、、
乗る時はだいたい叱られる時か、何か企んでる時
今日は後者だな。勘だけど。
律子「今から表参道の西園寺家贔屓のサロンに行きます」
律子「西園寺家の長女として相応しい容姿にするわよ」
『…かしこまりました、』
会長が選ぶものに間違いはないだろうけど、
何よりも、言いなりにしかなれない自分が嫌だった。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!