side⇄あなた
外に出たのはいいけど、
寒くてどうにかなりそう。
まだ冬っていう日付じゃないのに
今の私の気持ち体現してるみたいでやだ。
あてもなく、とぼとぼ歩いてると、
前からヤクザみたいなのが近づいてきた
〈姉ちゃんちょぉツラ貸せ?〉
「…なんですか」
〈君、この前岩田の坊ちゃんとおんのみたけど〉
〈どないな関係ですの?笑〉
「ストーカーなら警察に通報させていただきますが」
〈質問に答えてや、姉ちゃん。〉
〈どないな関係ですのーてゆーとんねん〉
「………」
「…何も関係ないです」
〈そんな嘘聞いてられまへんわぁ。〉
〈こちとら証拠アホほど掴んどんねん〉
〈ねー西園寺さんチの隠し子さん♪〉
「……!!」
まずい、バレてる…
これじゃあ何のための極秘結婚なんだ、
またあの人から雷が堕ちる、
〈キミ、ボンボンの娘はんやから、ちょいこっち
来てもらおーかなー〉
グイグイと引っ張られていく。
あぁもう殺してくれ。全てがおしまいだ。
そう覚った刹那、
私を連れ去ろうとするこのおっさんが、怯えだした。
〈…ちょっ、おい、なんで…!〉
〈やめろ、命だけは…!!〉
怖くて後ろを振り向けない、けど
誰かが殺意を向けてるのは理解出来る。
みるみるうちに掴まれた力が解けていく
その隙を狙って今度は後ろに引っ張られて、
腰を少し弱めに抱かれた。
銃をカチャカチャと弄る音がする。
華琳「……とっとと散れ、このクソジジイ」
〈…ひぃっっ、!〉
樹「この女はな」
樹「正真正銘、お前がだーいすきな岩田の坊ちゃんの女や」
華琳「手ぇ出した暁には、お前の命簡単に潰すよ」
華琳「ウラでいろーんなことやってるみたいやし
こっち側はいつ警察に言おうかしらって感じ」
どこかで見覚えのある顔に、
脳内の記憶という記憶を引き起こして考える
樹「まぁ今日は大目に見るけど、」
樹「次こんな真似したら、まじで殺すよ」
さっき、岩田と一緒にいた女の人が、
構えた銃を下ろすと、千鳥足で逃げていった
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。