side⇋あなた
やっと落ち着きかけた心が、また奮い立つ。
何言ってんの、この人…
『…は?』
剛典「口悪、笑 それでもあの西園寺家の長女?」
『…西園寺、西園寺、うるさいな、、』
剛典「…」
『私は隠された出来の悪い子ですが。何か。』
剛典「俺はその出来の悪い隠し子を選んだんだけど?」
『……っ、』
出来が悪いと、日毎に口煩く親戚から言われ
慣れてる、大丈夫、わかってると砕いてきたのに。
どうして、貴方から言われれると、
目頭がつん、と熱くなるの、?
剛典「…ま、俺はお前の事は好きにならないよ」
剛典「あくまで、今後の双方の関係を良好にする “ 潤滑剤 ” 」
剛典「出来損ないはこっちから願い下げだよ」
剛典「あと、身体で繋がってるとか言ったけどさ」
剛典「俺は、お前の身体に指一本触れてねぇよ。」
“ ま、左手首の裏でも見といて。 ”
そう言って、少し緩んだネクタイをきゅっと締めて
下僕を連れて颯爽と、部屋を後にした。
私は、呆然としたまま、自分の左手首を触る
触った時の少しの違和感を感じて、
それを頼りに探りをかけると、小さな龍が。
その龍は、言わずもがなアレを象徴とするもの。
ロイヤルブルーの青龍と、ある英文。
「𝑆𝑒𝑖𝑠ℎ𝑖𝑡𝑠𝑢 𝑊𝑖𝑓𝑒」
_________ “ 正妻 ”
分からない、貴方の事が、理解できない。
どうして?
どうして、こんなものを私に彫るの?
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。