悲鳴嶼さん達が来る前に、炭治郎はももの頸を斬った
ももはそう言いながら灰になった
その時、何かが聞こえた
灰になって崩れていくももがそう言っていた
私は、いつの間にか消えかけているももの頭を撫でていた
私は、ももが灰になってなくなるまで近くにいた
ももside
あたしは、心配されたかった
両親は、あたしたちをよく思っていなかった
バカにしていやがった
けれど、鬼に殺された
あたし達は怪我を負うくらいで済んだけれど、それで鬼になったみたいだった
さくらが言っていた
……嘘だ
そんなこと、ありえない
それは長男長女が言うものだ
そんなじゃないさくらがなんでそう言っているのか、意味がわからなかった
それから、瑠璃もさくらを頼るようになった
こうやって、あたしに甘えてくることはなくなった
あたしに注意ばかりしてくるようになった
嫌だった
だからずっと自己中でいた
自分を隠していた
だけど、藍風さん……
あなたはあたしの黒い心の錆を落としてくれた
再び本当の自分になることができた
短時間、頭を撫でてくれたことで
うれしかった
本当に、ありがとう
麻由side
頭の中に、ももの本音が流れてきた
綾音先輩が大声を出す
それから約1時間、私たちは鍵を探し続けた
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。