第5話

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2019/04/30 03:34
 全て読み終えて、しばらく立ち竦んだ。現実を受け止めきれなくて、何より信じたくなくて。彼が大きな夢を追ってるのは知ってる。それをわかって私は応援してた。…つもりだったのを今更気づくなんて、ほんとばかだ。

写真のふたりは笑ってる。確か、海で撮ったんだっけ。まだ海水浴の季節じゃなくて、すごく寒かった。鼻も耳も真っ赤で、お互いに暖めあったな。もう、懐かしい。写真の右下にふやけた跡がある。ひっくり返すと、ハングルで4行文章が書いてあった。

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여기서만 약한소리를해서도 돼?
너랑 죽을때까지 같이있고싶어.
떨어지는 진짜 싫어.
난 너를 정말 사랑해.
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感情に任せて、殴り書きしたような筆跡で、読み取るのはまだ難しかった。 やっと内容を知ることが出来たのは、半年勉強を頑張った後だった。

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ここでだけ、弱音を吐いてもいい?
君と死ぬまで一緒にいたい
離れるのがほんとに嫌だ
僕は君をほんとに愛してる
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書きながら、泣いたのかな。2、3粒円状に濡れた跡がある。

最後にするなら、跡形もなく消えて欲しかった。こんな未練残さないでよ。ますます忘れられなくなるの、気づいてよ。ジェットコースターのように動き回った私の心は疲れきって、涙すらもう出なかった。空いてる写真立てに飾って、見つめていたら夜が明けていた。

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