《テオくんside》
じんたんが見えるようになってから
はや1週間とちょっとが経った。
それまでにたくさんの場所を回ったりして。
思い出がひとつひとつ蘇る。
テオくんと2人で、と呟くじんたん。
その悲しそうな、切なそうな笑顔に
抱きしめてやりたくなったけど
やっぱり何度試みようと触れられることは無い。
いつまでもずっと
じんたんの1番身近な人でいたかった。
できればこのまま
じんたんをあっちの世界にやりたくない。
この少しのリスクを犯すぐらいなら
触れなくてもいいから近くにいて欲しかった。
言われて気づく、自分が泣いていたこと。
1番不安なのはじんたんなのに
1番泣きたいのはじんたんのはずなのに
情けない。
根拠の無い肯定の言葉をかける。
初めてこんなことを思う。
お願いだから、
誰でもいいから、
時間を止めてください、
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。
登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。