第20話

中毒②
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2018/07/09 12:40
テオ目線
③まであるよ。



次の日、早速カフェに女を呼び出してこう言った。
テオ
彼女と別れることにしたから。
本当にそんなことできるの?
あんたには別れ話も切り出せないきがするんだけど

女は笑ったけど俺はなにも言い返せなかった。


確かに、うまくやれる自信がない。





女が目の前に来てにやりとする。


そして、抱きつきながら囁いたんだ。
殺しちゃえば?



恐ろしい言葉にびっくりして見を離すと女はクスクスと笑った。
あたしもね、彼氏と別れたくてさ。
あの人ね…自分は浮気してるくせに、
あたしには "品行方正" を求めてくるの。
それなのに退屈そうな顔しちゃってさ!
頭にくるったらないのよね
テオ
……はっ。おまえが……品行方正?
失礼ね。
"だから" 外ではこんな格好してんのよ。
家に居るときは喋り方どころか、声まで違うわ。こうでもしないと……頭がおかしくなりそうなの

女の表情は微塵にも嘘をふくんでないように見える。
テオ
おまえの "しおらしい" ところか……見てみたいもんだな
いいわよ……見たら死ぬほどおどろくんだから


そう言って女はまた俺に抱きつくと、
今度は逃げられないように、
腕で首を締め付けるみたいにして自由を奪った。

そして、子供をあやすように言うんだ。
だから…ね?

この女は本気だ。


女は持っていた粉が入ってる袋2つ
のうちの1つをくれた。
テオ
おいおい、こんなの……どうやって手に入れたんだよ
まあまあ、まずは毎日家に帰って彼女と食事をし、寝て?
テオ
なんでそんなこと…
そうしないで、いつ彼女に毒を盛れるっていうの?今のあなたじゃ、何をすすめても "どうして急に" って疑われるわ
あたしと出会ってから彼女を放ったらかしにした分は、尽してあげることね。
そして……安心して飲み干してもらわないと


俺はカフェを出た。


じんたんを殺す…
そんなのできるわけない…
あの女だって本当に自分の男を殺すか分からないじゃないか。





やるにしたって、あっちが先だ……
そうでなければ……
そうでなければ……


それからの俺は "いい彼氏" だったと思う。



もううんざりだとおもっていた日々がこうしてみると悪くない。


だが、終わりは近づいていた。











今日、やるわね
仕事をさぼって待ち合わせたレストランで
女は宣言した。
テオ
き…今日……?
そう、今日……今夜。
夕食は腕によりをかけて作るわ。
彼とあたしの、最後の晩餐だから。
テオ
そうか……うん、そうだな
あたしがやったら連絡してあげようか?
テオ
え?
あたしが先にやらないと…
あんたやれないでしょ?
女の全てを見透かしたような言い方は


拒否を許さない。
テオ
……ああ、たのむよ。



俺は今日、じんたんを殺すことになった。

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