テオ目線
③まであるよ。
次の日、早速カフェに女を呼び出してこう言った。
女は笑ったけど俺はなにも言い返せなかった。
確かに、うまくやれる自信がない。
女が目の前に来てにやりとする。
そして、抱きつきながら囁いたんだ。
恐ろしい言葉にびっくりして見を離すと女はクスクスと笑った。
女の表情は微塵にも嘘をふくんでないように見える。
そう言って女はまた俺に抱きつくと、
今度は逃げられないように、
腕で首を締め付けるみたいにして自由を奪った。
そして、子供をあやすように言うんだ。
この女は本気だ。
女は持っていた粉が入ってる袋2つ
のうちの1つをくれた。
俺はカフェを出た。
じんたんを殺す…
そんなのできるわけない…
あの女だって本当に自分の男を殺すか分からないじゃないか。
やるにしたって、あっちが先だ……
そうでなければ……
そうでなければ……
それからの俺は "いい彼氏" だったと思う。
もううんざりだとおもっていた日々がこうしてみると悪くない。
だが、終わりは近づいていた。
仕事をさぼって待ち合わせたレストランで
女は宣言した。
女の全てを見透かしたような言い方は
拒否を許さない。
俺は今日、じんたんを殺すことになった。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。
登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。