【じん目線】
・学パロです
・ヤラないです笑
・よくわかんないです
・藤枝君は寺島君のこと片思い中だそうです
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お店の窓からは、終わりかけの桜並木が
ぼんやりと見えた。
よくよく目を凝らしてみると、
枝に花びらが僅かにある。
頑張ってる春を、ちょっと応援したくなった。
中学に入学して以来、俺の視力はどんどん下がる。
ちょっと合わなくなって新しいメガネを作りに来た。
そういってお母さんは他のところへ行った。
鏡を見ながらいつも思う。
メガネは家と同じ気がする。
土台が悪いと良い家じゃなくなる。
だからイケメンが羨ましい。
いいなあ、俺ももうちょっとかっこよく生まれたかった。
なんてことを考えながらメガネ屋を回ってると、
俺は慌てた。
びっくりした。
同じクラスの寺島だ。
あんまりしゃべってないけど
かっこいいと有名だ。
寺島は店内のイスに座っている
おばあちゃんの方を見た。
そういって寺島はいろいろ試着をさせてくれた。
時折、
俺の顔をのぞき込む寺島の顔が眩しくて、
視線を逸らさずにはいられなかった。
何度か試着した。
寺島は無邪気な笑顔を浮かべた。
お礼を言おうとしたが、
寺島はもう俺の方を見ていなかった。
俺が止める間もなく、寺島は手を降って
去っていった。
_
翌日
最悪な日だったことを思い出した。
日直だから…
仕事はたくさんあるけど、
最悪なのは帰りの1分間スピーチだ
毎回、担任に決められたテーマにそって話す。
いつまでたってもみんなの前に出て、
話すことに慣れてない。
人見知りだし。
教壇に立って、みんなの前で話してるうちに、
声どころか、体まで震えてくるし、
視界は歪み、自分が何を喋ってるのか分からなくなる。
それに、同じクラスに寺島もいる。
緊張しないほうがおかしい。
登校中ずっと考えた。
めがね変えたから視界クリアで余計に緊張する…
ど、どうしよう…
_
帰りのホームルーム。
スピーチの時間がやってきた。
心臓がバクバクいってる。
手には汗がにじみ、小刻みな体の震えが止まらない。
担任の先生に言われ、俺は教壇にたった。
俺はゆっくりとめがねをはずした。
よかった。めがねを見せながら喋るから、
視界がぼやけて緊張を最小限にできる。
そしてこのめがねは宝物に間違いなかった。
あとは1分間がんばって話す。
めがねの自分が嫌いだったけど、
これは自分でも気に入っていること。
友達からも似合うと言われて、
少しめがねの自分が好きになったこと。
今日これをつけて登校することが
楽しかったこと。
寺島に面と向かって、お礼が言えなかったから、
この場を借りて言ってしまった。
普段だったら絶対に言えないだろう。
教室に拍手が響いた。
おわった…
すぐに教壇から去ろうとしたが、
それは許されなかった。
スピーチのあと、
少しだけ先生の質問が入るのが恒例となっている。
先生の素朴な疑問だった。
まさか、クラスの寺島に選んでもらいましたなんて、、
いや、寺島の周りの連中がつっかかってくるにちがいない…
だって、俺は寺島のこと…
先生の追及に、少しパニックになった俺は、
とんでもないことを思わず口走ってしまった。
自分でも何を言っているのか、分からなかった。
ぼんやりとしか教室が見えないことをいいことに、
寺島の方を見て、そう言ってしまった。
寺島はどんな表情してるんだろう。
ごまかしちゃった。
先生がそう言うと、教室に笑いが溢れた。
自分でも真っ赤になってるのが分かるくらい
顔が熱かった。
_
あの後、寺島の顔は全く見れなかった。
放課後、俺は一人、日誌を書いていた。
ペン先が震えているのがわかる。
あまりにも震えるので、日誌はまだ埋まらない。
こんなんじゃいつまで経っても終わりが見えない。
ペンを置き、天を仰いだ。
あの時、言った瞬間、後悔はなかった。
でも今思い返せば、
なぜあんなことを言ってしまったのか。
あんな大胆なことがよくできたものだと、
悶え、叫びたくなった。
誰もいない放課後の教室に聞き覚えのある声が響いた。
寺島だった。
寺島はそばにやってきて、近くのイスに座った。
俺は何が起こっているのか、
これは現実なのか夢の中なのか、
理解できなかった。
思わずめがねを外した。
寺島は俺の顔をのぞき込み、笑いながら言う。
俺はふいに顔を上げた。
寺島の顔が、思いの外近くにあった。
俺はまた目を伏せた。
自分の声が震えているのがよく分かった
寺島は大きく息を吸い、そして吐いた
俺は何も言えなかったし、顔を上げることができなかった。
寺島の声もかすかに震えていた。
_
日誌を提出し、校門を出ると寺島が待っていた。
俺たちは散り散りになった桜並木を、並んで歩いた。
閑散とした桜並木のように、二人の間に会話はなかった。
普段はおしゃべりな寺島も、恥ずかしそうに、
上を向いたりするばかりだった。
間が持たないなぁ___。
俺がめがねを外そうとした。
それでも俺はめがねを外した。
俺は寺島の後ろの裾をちょっと掴んだ。
寺島は何も言わなかった。
恥ずかしそうに、手をとって握ってくれた。
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なんだこのきゅんきゅん、
しかも長いしって思った方、、
私、こういうのがたまに見たくなるんです!
ヤりまくってるのも見たいけど!←
次はもう真っピンクのヤッてるやつだすんで、
おたのしみし。
byさきいか
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。