第12話

来世で会おう
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2018/07/01 02:29
テオ目線

theシリアスです
テオくんはアメリカ南部の兵士で、
じんたんは兵士を治す治療士です。





19世紀、アメリカは内戦が起こっていた。

南北戦争である。


南軍の兵士であったテオは北軍に捕らえられ、
絞首刑に処されるところだった。







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北部の一本の橋に吊るされた俺は、

真下にある急流を見下ろした。
テオ
…っ!
首を吊るされ、逃れられない状況
自分の乗っている板の反対側の男が

上官の合図で一歩足を外せば

板は傾き、俺は落ちて逝くだろう
目隠しはされてなかった。



俺は目をつむった
俺は真っ先にあの人のことを思った。





いつも内戦で怪我をしたら治療室にいる

女の子のようなあいつ
テオ
こんなことになってすまない。

もう一度会いたかった……

体が弱く兵士にはなれず、
治療の方に回ったという。

いや、そうでなければ
俺はあいつに会えなかった。


" 恋愛感情 " は生まれなかっただろう。

えっと、君の名前は








……なんだっけ?



もう一度目を開けた。
この両手が自由なら、首の縄を振りほどいて、川に飛び込むのだが。

水の下に潜れば弾は避けられる。

必死に泳げば岸にも着けるだろう。


森を抜けて…

テオ
もう一度会おう…
突然板がぐらつき、落下した。
痛み、苦しさを感じる前に死への恐怖に
気を失った。
バッシャーンという大きな水しぶきの音と共に体が急流に飲み込まれた。

俺は目覚めた。


必死に手首を動かし、ロープは外れた。



手が自由になり、首のロープも外した。


突然、鋭い炸裂音が耳元をかすめた。

1発、2発…


銃声である。


俺はどんどん先へ進んだ。
テオ
いける、まだ大丈夫だ…!


北軍のいる橋から弾が届かなくなってきた。
しかし、目の前でドーンという音がした。



大砲だ。


大丈夫だ、まだ。
テオ
なんとしても逃げ切ってやる!


ついに射程内からもはずれ、岸につき、

森へ逃げ込んだ。











日が暮れてきた。


俺はフラフラだった。



はやく、はやく会いたい。



俺は大切な人など一人もいなく、
ただひとり兵士として送り出された。


そんな俺の話を
楽しく笑顔で聞いてくれるやつは
今までの中であいつだけだった。



月明かりの下、森の中で1本の道を見つけた。


フラフラになりながら進んだ。



見慣れた洞窟が見えてきた。
いつもの運ばれる治療室



暗い洞窟を進むと、


一筋の光の中、あいつがいた。


あいつは笑顔を見せた。
じん
おかえり!
また来たのー?w
思い出した。





テオ
ジ…ン…
じん
うん、ジンだよ。
覚えててくれてたんだね。
テオ
…っ

会いたかった……!
白い肌にきれいな笑顔出迎えてくれる

いつもの大好きな時間に浸り、



抱きつこうとした。

するとジンはだんだん消えていく。
じん
テオ、来世で会おうね



ら、いせ… ?









その瞬間、首に激痛が走った。


あと少しで愛しい人に手が届くのに。


何が起こったのか理解する暇もなかった。







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ロープで吊るされ、落下した衝撃で

首の骨が折れたテオの体は橋の下に

ゆっくり揺れながら落ちていった。












すべては彼が橋から落ちていく間に見た、

一瞬の幻だった。










❃解説しますと、テオは死ぬ間際にジンと会う幻をみた。ジンが消えていったのはテオと一緒のときに死んでいて、最後にテオに会いに来たのです。「死ぬときも一緒」というわけですね、はい。学校で南北戦争の話を聞いて思いつきました。来世ではきっとスカイピースとして楽しくやっていると思います、はい!(ムリヤリ)

by語彙力迷走中さきいか

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