太陽暦198年
私も17になり、ついにもうすぐ森羅が第8に入隊して本格的に物語が進み出す
夢を見た
初夢というやつだ、だがこれがどういう意味を持つのかは不明
私と同じ顔をした人がいる
???「もうすぐ始まる」
『何が?』
???「全て知っているでしょ?」
『この世界の話をしているの?』
???「そう」
『それならこれはアドラリンク…?あなたは私のドッペルゲンガーだとでも…?』
???「そうとも言えるしそうでないとも言えるかな」
『浅草で紺炉さんに成り代わろうとした鬼みたいに私と成り代わろうとしてるの?』
???「それは違う、私はもうどこにも居ない…9柱目のアドラバーストは存在すれども9本目の柱は既に存在せず出現しない」
『それじゃわからないよ』
???「今はここまで…足掻けば僅かでも未来は変わる、どうか大災害前の世界をもう一度見せて」
目が覚めた
まだ外は真っ暗だ
私のドッペルゲンガーは敵意があるようには思えなかったが何だか不気味だった
気分を変えるために少し大きめの手ぬぐいだけ持って窓から出て身体強化で窓の外の柵から屋根に飛び移る
そして屋根の上で持ってきた手ぬぐいを敷いて座る
自分のドッペルゲンガーが言っていた事を思い出す
(私がこの世界の事を把握しているって事を知ってた…ドッペルゲンガーも転生者?でもそれが私が転生者だって事を知る事に繋がるわけじゃないし…)
そうとも言えるしそうでないとも言えるという答え
(あれはアドラリンクの事を言ったのか?それともドッペルゲンガーの事?もしリンクで無いならただの夢…それはそれで構わない、でもあれがリンクでドッペルゲンガーでは無いっていうなら一体何なんだ…)
目的は成り代わりではない
それに9柱目のアドラバーストと9本目の柱は同じ意味を指す訳ではないらしい
(私はもうどこにも居ないって言っていた事が関係してるのか?それなら何で現れたんだ…白装束に9柱目だって確かに言われたけど柱が出現しない…?)
いくら考えてもわからない
しかし最後の…
(足掻けば未来は変わる、そして大災害前の世界をもう一度見せて欲しいという言葉…大災害の発生に必要な筈なのに出現しないという私の柱…もしかするとドッペルゲンガーの意思は伝導者とは別のものなのかも)
今はここまでというのならまた現れるのだろう
空を見上げる
(私はあと何回…こうやって毎日交互に出てくる月と太陽を見て、季節の移り変わりを感じで、歳を重ねて、新しい年を迎えて…そんな当たり前の日常を送れるんだろう)
イレギュラーに確実な未来は無い
危険な物語に首を突っ込めば命の保証はない
だが一度死んでこの世界に新しく生まれた以上は夢のように世界が終わった所で覚める事もない
世界が終われば自分も終わり、紅丸や紺炉さんや他の浅草の人や皇国の人も私もみんな同じ
イレギュラーな私の介入で紺炉さんの灰病はかなり軽度で済んだが、私の存在が逆に悪い方向に働くこともあるだろう
足掻けば僅かでも未来は変わる…確かにその通り
だが裏を返せば全てを変える事は出来ないという事
選ばなければいけない
私が一番守りたいものは何か…
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。