第10話

介抱
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2021/01/14 20:14
紺炉中隊長が去ってしばらくしてから新門紅丸が来た

紅丸「紺炉に頼まれて来た、入るぞ」

『どうぞ』

(こっちも若いけど…とりあえず顔がいい…最高…そう言えば新門大隊長が推しだったんだよな…転生してよかった)

紅丸「新門紅丸だ」

『初めまして、新門さん…?』

紅丸「紅丸でいい」

『紅丸さん…』

紅丸「まぁ…それでいい、お前はあなたの名字…でいいんだよな?」

『はい』

紅丸「とりあえず飯持ってきたから食え」

『ありがとうございます』

紅丸「1、2時間もすりゃ紺炉が戻ってくるはずだ、風呂…はその足じゃ無理だな。体拭くもんと…たしか俺の昔使ってた自警団の服が残ってるはずだからこの後探してくる、飯食ったら体拭いて着替えろ」

『ありがとうございます』

紅丸「食いながらでいい、何か聞きたいことはあるか?」

『自警団について聞いてもいいですか?』

紅丸「ああ、自警団は浅草の町の見回りだとか事件の対処だとか独自のやり方で焔ビトの鎮魂なんかをやってる。聖陽教でも手は出せねェ、それが浅草だ。ちなみに今は紺炉が頭で俺が2番目だ」

『そんな上の立場の人が私の面倒なんかに時間を割いて大丈夫なんでしょうか…』

紅丸「大きな事件じゃなきゃ俺か紺炉のどっちかがいれば問題ねェ、それに浅草のやつらはそんなヤワでもねェ。だいたいあんだけボロボロだったのに病院の近くで力尽きるでもなく逃げるように人通りの少ない路地で倒れてたんだ…どう見ても訳ありって感じだ、それなら俺や紺炉が近くにいた方が安全だろ」

『お手数おかけしてすみません…』

紅丸「ガキが気ぃ使うな」

『はい…』

紅丸「他になんか聞きたいことはあるか?」

『今のところ特には…』

紅丸「そうか、そんじゃあ俺は必要なもん持ってくるからそのまま飯食っとけ」


〜20分後〜

紅丸「着替えとお湯を持ってきたぞ」

『ありがとうございます』

紅丸「1人でできるか?無理なら手伝ってやる」

『大丈夫です!』

紅丸「おお…じゃあ俺は一旦皿を片付けてくるが、包帯は濡らすなよ」

『はい…』

紅丸が部屋から出たのを確認し、服を脱ぐ
そして体を拭いていく

『うわぁ…起きた時から体が土っぽいとは思ってたけど結構汚れてるな、そりゃ地面に倒れてたんだから汚れもするよね…』

(頭と顔は…面倒だから桶に頭突っ込んで洗っちゃおう)


〜数分後〜


『うん…だいぶキレイになったな』

紅丸「終わったか?入るぞ」

『…!?!?ちょっと待ってください…!』

(頭ビショビショだし服着てねぇ!服だけでも着なきゃ…!)

急いで紅丸の持ってきた着替えに袖を通す

紅丸「おい、大丈夫か?」

『大丈夫です…!終わりました』

紅丸が部屋に入ってくる

紅丸「お前…頭びしょびしょじゃねェか、そんなんじゃ風邪引くぞ」

『あっ…今拭きます』

紅丸「タオル貸せ」

『……?』

紅丸にタオルを渡すと私の後ろに周り髪を拭き始める

『……!?!?』

(推しに頭を拭かれてる…!?)

予想だにしていなかった初めての出来事に頭が混乱する

(推しに頭吹かれるとか嬉しいけど恥ずかしすぎる…そう言えばたしかヒカヒナの面倒も見てたし面倒見いいんだよね)

紅丸「ほら、終わったぞ」

『ありがとう…ございます』

(子供相手だからか丁寧だったな…)

紅丸が移動し私の座っている布団の横に座り直す

少しだけ水気の残る前髪が顔に張り付いて紅丸の顔はよく見えない

(そういえば前髪は伸びたままだったな)

紅丸「服の大きさは平気か?」

『大丈夫…です』

紅丸「浅草じゃ鎮魂で家が倒壊したやつは復旧まで詰所で面倒見てる、だから俺の服も貸し出す用に一応取っといたんだが実際に役立つとはな」

(え?推しの服…やば…それにしてもせっかく推しが近くにいるのに顔がよく見えないのはもったいなさすぎる…)

前髪をかき上げて紅丸の方を見ると紅丸と目が合った

(うわぁ…やっぱりめっちゃイケメン…象もキレイな顔してたけどそれとはまたジャンルの違う整った顔…眼福だわ)

紅丸(キレイな顔してんじゃねェか…)

紅丸「…汚れてて気づかなかったがこれは…だが紺炉は男だって言ってたよな…」

『はい?』

紅丸「何でもねェ…」

(そんなに男には見えないのかな…でもまだ13歳だし、髪短いし、いざという時に応急処置にも使えるからって下着の代わりに胸は包帯で潰してるし…服の下には念のためにいつも防刃ベスト着込んでるから多少なりとも体型は分かりにくいはずだし…誤魔化せるよね?)

紅丸「そうだ、貰いもんの菓子があるが…食うか?」

『いただきます…』

紅丸がお菓子を取りに行く

紅丸「菓子と茶、持ってきたぞ」

『ありがとうございます』

紅丸「そうだ…緊急の用がない限りは俺か紺炉が近くにいる。ちなみに俺の部屋は隣、紺炉の部屋はこの下だ。夜でも何か用があれば隣の部屋の俺に声を掛けろ、隣なら呼べば聞こえる」

『わかりました』



その後しばらくお茶を飲みながら紺炉が戻るまで浅草の色んな話を聞かせてくれた

長い沈黙は子供にとって苦痛や不安になるだろうと配慮からかもしれない

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