第66話

賭け
2,297
2021/01/27 16:53
少し悩んだ結果、勝てば済む話だということで勝負を受けることにした



『…わかった、そんだけのもの賭けるなら私は2つくらい要求してもいいよね?』

紅丸「構わねェ」

『じゃあ1つ目、また団子買ってくるからその愉快王の状態で団子頬張ってリスみたいな可愛い顔見せて?』

紅丸「まだ諦めてなかったのかよ…」

『そして2つ目、私と皇国でデートしてもらおうか』

紅丸「賭けじゃなくてもしてやるんだがな…」

『何か言った?』

紅丸「何でもねェ」

『ちなみにヒカヒナとかも連れて一度食べ歩きに行こうかなとは思ってるけどそれとは別ね』

ヒカヒナ「呼んだか!?」


どこからか話を聞いたヒカヒナがやって来る


『今度皇国の甘味の食べ歩きに連れて行ってあげようかなって思ってるって話してただけだよ』

ヒカヒナ「本当か!?」

『本当だよ、それはそうと…この後お風呂一緒に行くけどやることあるからまだ紺炉さんと一緒にご飯食べて待っててくれる?』

ヒカヒナ「へーい」


ヒカヒナが紺炉の元へ戻っていったので話を戻す


『話が逸れたけど…いいよね?』

紅丸「皇国は気に入らねェが…付き合ってやるよ、それだけでいいのか?釣り合いが取れねェ賭けは本意じゃねェ」

『うーん…それじゃあこれからは朝以外も髪梳いてもらおうかな』

紅丸「それで終いか?」

『うん』


お酒が入ってか普段ならしないであろう要求がすんなり出てくる


紅丸「ハンデは欲しいか?」

『要らない、本気で負かす』


隊員「俺たちには容赦なくねェか…?」

隊員「若からは金巻き上げねェのか…」

隊員「負けてもアレなんだ羨ましい」

隊員「どうせなら俺達も賭けねェか?若が勝つかお嬢が勝つか」

隊員「それなら俺はお嬢に賭けるぜ!」

隊員「俺もお嬢に」

隊員「お嬢もだいぶ飲んでるしな、俺は若にかける」


後ろで好き勝手言ってると思ったら人の賭けの結果をさらに賭け始めた


紅丸「酒はどうする」

『さすがに腹が圧迫されてくるから度数高いやつ、ハンデは要らないけど好みの問題で紅丸がいいなら日本酒がいい』

紅丸「お前ら、日本酒の原酒持ってこい」

隊員「へい!」


そう言ってどこからが酒瓶を持ってきた


紅丸「それじゃあ始めるか」


私の…いや、浅草の未来を賭けた勝負が始まった


まずは1杯、もはやお猪口ではなくグラスだ


相変わらず愉快王のままの紅丸の顔は最高だが勝負には負けられないので気は抜けない


潰れないように水をガバガバ飲み、固形物を腹に入れる

飲み比べと言ったって食べちゃいけないだとか他のものを飲んじゃいけないなんてルールはない、これも立派な戦略だ


そして2杯、3杯とお互いに酒を飲んでいく


ペースは自由でお互いのグラスが空になれば次に行く、片方が途中でギブアップするか両方が潰れればその時点のグラスの中身の残りの量で勝ち負けを決めるというものだから酒だけガバガバ飲む必要は無いがそれなりのスピードはある


お互いに1本目を空けた終わり、2本目に突入する


紅丸(まだ潰れねェのか…涼しい顔してやがる…)

(中々しぶといな、あのいい笑顔が今に限っては憎たらしい…)


周りは白熱しているようだがこちらは盛り上がれない


正直顔には出てないが少しずつ思考が回らなくなってきている

それもそうだ、紅丸はどうだかわからないが私は宴会が16時くらいから始まってから20時くらいの現時点…4時間で酒瓶を5本空にしている

お陰様でトイレが年寄り並みの頻度だ


2本目に入ってもまだまだ勝負は終わらない


紅丸「そろそろつれェんじゃねェのか?」

『まだまだ、愉快王さんの方が今にも潰れそうじゃん』

紅丸「あ"?俺は酔ってねェよ」

『鏡見ようよ』


そんな言葉の応酬をしながらもお互いに飲むペースは落とさない


2本目の半分で途中でいい加減にこの勝負に終わりを見出したくてラッパ飲みに変更した


同じ瓶なのだから酒の残量の確認は簡単だ


隊員「いいぞ!勝ってくだせェ、お嬢!」

隊員「若もラッパ飲みしねェと男が廃りますよ!」

隊員「一気だ!」


ヤジが飛び交う


一気にカタをつけてやるとラッパ飲みで瓶の酒をどんどん減らしていく


そして私が先に2本目を飲み終わる

…と同時に紅丸が机に突っ伏して潰れた


『紅丸?大丈夫?』

紅丸「……スー」


反応はなく寝息しか聞こえない


隊員「お嬢の勝ちだ!」

隊員「お嬢が若を潰したぞ!」


少し離れた所にいた紺炉が戻ってくる

紺炉「見事に潰したな…あなたは平気か?」

『平気』


正直言って平気ではない、少しだけ顔が熱くなってきて頭がフワフワしている

勝ったということで気が抜けたせいもあるだろう


紺炉「若はこのままにしときゃ数時間もすりゃ勝手に起きるから気にすんな」

『ん、ヒカヒナを風呂に入れてくる』

紺炉「酒飲んだ後で平気か?」

『問題ない』


いつもこの時間になるとヒカヒナを風呂に入れているのでもはや大丈夫かどうかは関係なしにルーティンで動いている


『ヒカヒナ、お風呂行くよ』

ヒカヒナ「へい!」

ヒカゲ「姉ぇちゃん目据わってる気がするぜ」

ヒナタ「大丈夫か?」

『大丈夫、着替え持ってお風呂行こう』




ちなみに私と紅丸が勝負している後ろではお嬢と若の表情筋が入れ替わっているという話題で盛り上がっていたとか

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