大事な話は終わった、あとは女子2人とのお話だ
『そうだ、女性陣でお風呂行きません?』
マキ「銭湯ですか?」
『銭湯もいいけど詰所のお風呂だよ、私が銭湯行くと人が凄くて…中隊長以上とヒカヒナだけで交代で使ってるお風呂だから銭湯よりゆっくり入れると思う』
環「私もいいんですか?」
『これからよく第8に顔出すつもりですし、せっかくだから仲良くしたいな…と、元第1の敬虔な聖陽教徒だと大隊長会議で皇王に楯突いた私はいい感じはしないでしょうから無理強いはしませんが』
環「いえ…レッカ中隊長の件もありますし、今日一日であなたの名字中隊長が浅草を大切に思ってるのがよくわかったのであの時怒ったのも理解できます」
『じゃあ、お友達になってくれる…?』
環「はい!…でも、私…ラッキースゲべられで迷惑掛けちゃうかも」
『脱げるんだっけ』
環「脱げるし揉まれるし…」
『気にしないから大丈夫だよ』
環「ホントに…?」
『うん、紅丸なんて恋人でもなんでもないのにさっきいきなり故意で2度もキスしてきたからね…』
環「ええっ!?」
マキ「締め上げましょう!!」
『締め上げる代わりにしばらく第8に居ようと思って…そんなわけだしラッキースゲべられってタマキちゃんの方が精神的にも生活の不便さ的にも大変でしょ?だから気にしないでいいよ』
環「ありがとうございます…!そんなふうに言ってもらえることなくて…私…」
何故か感極まっているのでとりあえず片手を出す
『とりあえず握手でもする?』
環「はい…!」
環が近づいてきて恐る恐る手を出す
…が、何も無いのに躓いた
環「どわッ!!」
『おおっ…と』
肩を掴んで止めたが何故か自分まで後ろに倒れ込みそうになる
第8の面々は諦めの表情だがまだ間に合う
『お父さん!!』
紺炉「任せろ」
紺炉が私の後ろに回り込んで立ち、肩を掴んで止めてくれた
紺炉に寄りかかった状態から環を支えたまま体勢を立て直す
桜備「本当に親子みたいだな」
火縄「見事な連携ですね」
マキ「ラッキースゲべられを止められる人が第7にもいるとは…」
アーサー「只事じゃないな」
森羅「それを言うなら只者じゃないだろ」
何故か感心されている
『どうにかなったね、お父さんのおかげもあるけど』
紺炉「鍛えてるからな」
『それじゃあ、改めて握手…よろしくね』
環の肩を掴んで支えていた手を離して少しだけ離れ、代わりに手を握る
環「よろしくお願いします!」
そう言った瞬間に次は私の手を握ったまま後ろに倒れ込んでいき、引っ張られる
環「うわっ…」
さっきの二の舞にならないように今回は発火能力を使い、片手で背中を支えて握っていた手を軽く引っ張って倒れるのを止めてちゃんと立たせる
環「あれ…?」
『今回は大丈夫だったね』
環「目…発火能力使ったんですか?」
『うん、さっきは力入ってなくてよろけちゃったから今回は発火能力で身体能力を上げてみたんだけど上手くいってよかったよ』
環「バーンズ大隊長と同じ…?」
『私のは蓄積型じゃなくて使用時間に左右されないタイプだけどね、まぁこれで済むなら第8での業務も全く問題なさそうだな』
マキ「第7にもタマキちゃんのラッキースゲべられを止められる人が居るとは…」
桜備「尚のこと引き抜きたい人材だな」
火縄「それはやめといた方がいいですよ」
紺炉「出向は構わねェが引き抜きは困るな」
『異動はしないから大丈夫だよ、それじゃお風呂行こうか』
紺炉「そうだ、飯も第8の姉ちゃんたちと食べても構わねェぞ」
『じゃあそうしようかな』
紺炉「風呂出たら取りに来い」
『わかった』
部屋を出て風呂へ向かう
マキ「第8は男子用と女子用の2つのシャワールームしかないんですけどここは違うんですか?」
『そこそこ広いし湯船もあるよ、紅丸が風呂好きなんだけど毎日銭湯に行くわけにもいかないからね』
環「アイリスも来ればよかったのにな」
マキ「留守番してもらってるシスターには申し訳ないですね」
『シスターとも仲良くなれるかな…』
マキ「第8も第7もやり方は違えど理念は同じですしきっと大丈夫ですよ!」
『だといいな』
話しているうちに風呂場の前に着き、ドアを開けて入る
『ここだよ』
マキ「ここが脱衣所ですか」
環「建物自体もそうだけど同じ特殊消防隊でもここまで違うんですね」
『着替えはそこのカゴに入れておくといいよ』
各自着替えて風呂場へ入る
環「うわ〜広い」
マキ「いいですね、第8のお風呂もこうならいいのに…」
『全く知らない人にスケベられる心配もないしいいでしょ?』
環「そうですね…」
その後も第8の日常的な話を聞いたり環のラッキースゲべられを回避しながら風呂を済ませて出てきた
環「いや〜サッパリした」
マキ「ゆっくりお風呂に入れるっていいですね」
『それじゃあご飯取りに行こうか』
脱衣所を出て厨房へ向かう
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!
転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。