第24話

宴会
2,700
2021/01/17 21:41
2時間ほど寝ただろうか


『いまなんじだ…』

目を開けると真正面にどえらいキレイな顔面があった

紅丸「やっと起きたか、さっき紺炉が来て起きたら大広間に来いだとよ」

『あー…わかった、起きる』

まだ頭が冴えないが起き上がる

少し崩れた髪を梳いてくれる

(そういえばヒカヒナの髪を梳くのが日課なんだっけ)

『慣れてるね、ヒカヒナの髪の毛結いてるの紅丸なの?』

紅丸「ヒカヒナの髪を梳くのは日課だ、たまに結ってる」

『じゃあ髪伸ばして見ようかな』

紅丸「男には見えなくなるぞ」

『べつにいいんじゃないかな』

紅丸「男色の野郎が続出したらどうすんだ」

『いや、知らないし…髪伸びたらヒカヒナと一緒に日課で髪梳いてよ』

紅丸「そのために伸ばすつもりか?」

『ダメかな』

紅丸「…構わねェ」

『約束、忘れないでね』

紅丸「保証はできねェ」

『じゃあその時になったらまた言うよ、とりあえず大広間に行こう』


居間を出て大広間に向かう

だんだん聞こえる音が騒がしくなってくる

『もう集まってるみたいだね』

紅丸「あいつらはただ酒飲んで騒ぎてェだけだからな」

大広間について扉を開ける

紺炉「やっと主役が来たか」

「紅!遅ぇじゃねぇか」
「誕生日おめでとう」
「先に飲んでるぞ」

何だかもう既にわりと無法地帯だ

とりあえず主役の登場ということで一旦みんな据わって紅丸の方を見る

紺炉と紅丸が短い挨拶を済ませて改めて乾杯すると再び騒がしくなった

私はとりあえずヒカヒナの元に行ってヒカヒナの相手をしながらご飯を食べる


だいぶお腹がいっぱいになって来たところでヒカヒナも暇そうなので一旦裏庭で遊んでくることにした


1時間程遊び、とりあえずこの後やることもあるのでヒカヒナとお風呂に入ってきた


16時くらいに宴会が始まって3時間ほど経っただろうか


再び大広間に戻ってみると相変わらずの騒がしさだった


(紅丸はどこだろう…)


辺りを見回して紅丸を探していると一瞬ニッコニコの紅丸らしき人が見えた


(いやいやまさか…)


もう一度よく見てみる


(愉快王になってる…)


おそらく誰かがふざけて酒を飲ませたのだろう

一応大丈夫だとは思うが紅丸の元へ向かう

『紅丸、怖いレベルでいい笑顔だね』

紺炉「誰かが紅に飲ませたみてェでな、酒が入るとこうなっちまうんだ」

紅丸「なんだあなたの本名に似た男装用の偽名じゃねェか、どこ行ってたんだ?」

顔面は見事にニッコニコの愉快王だが声は愉快じゃなさそうだ

『ヒカヒナと遊んでから風呂入ってた』

紅丸「俺の誕生日なのにヒカヒナか」

『いやいや朝から宴会始まるまで一緒にいたじゃん、記憶飛んでんの?』

紅丸「宴会が始まってからはずっといねェじゃねェか」

『それはごめん、他にも人いたしべつに居なくてもいいかなって思ってさ』

紅丸「ここにいろ」

『わかったよ』

せっかくなので紅丸の顔をガン見する

紅丸「何見てやがる」

『チンピラみたいなイチャモンつけないで欲しいな、笑顔の紅丸ってめったに見れないから見てただけじゃん』

紅丸「見せモンじゃねェぞ」

『減るもんでもないんだからいいじゃん』

紅丸「うるせェ」

『そんな小さいこと気にしてるとは男らしくないなぁ』

紅丸「その顔面で男らしくねェって言われてもな」

『中々に失礼なこと言うね、この顔はそんなにダメか…?』

紅丸「あ?キレイだろ」

『は?自画自賛?』

紅丸「お前ェのこと言ってんだよ」

『はぁ…?どうも?』

(こりゃ酔ってんな…)

紺炉「紅…テメェな…」

『紺炉さんどうかした?』

紺炉「何でもねェ」


『そうだ…紅丸、後で部屋にプレゼント置いておくから明日酔いが覚めた状態で開けてね』

紅丸「今でもいいだろ」

『明日酔いが覚めてから、じゃなきゃ紅丸じゃなくて紺炉さんにでも渡すよ』

紅丸「チッ…」



そろそろ21時か…


ヒカヒナが眠そうにしているのを見つける

『ちょっとヒカヒナを寝かしつけてくる』

紺炉「ああ、頼む」

『ヒカヒナ、部屋に行こう』

ヒカヒナ「へーい…」

手を繋いでヒカヒナの部屋に向かう

部屋に入って布団を敷き、一度抱きしめてからヒカヒナを布団に入らせて頭を撫でる

『おやすみ』

ヒカヒナ「おやすみ…」


(きっとここにまた戻ってくる頃には今より大きくなってるんだろうな、やっぱり口悪くなっちゃってるかな…)

そんなことを考えつつ5分ほどヒカヒナの顔を見ながら頭を撫で続けていた

(そろそろ戻ろう)


宴会場に戻る


相変わらず紅丸は愉快王だ

『もしかしてまだ飲んでるの?』

紅丸「俺の誕生日だ」

『そうだけどさ…未成年が堂々と飲むなよ…』

紅丸「羨ましいのか?」

『さすが酔っ払い、びっくりするほど的外れ…まぁ酒はまだいいけど煙草だけはダメだから』

紅丸「吸ってねェが何でだ」

『酒よりよっぽど体に悪いし周りにも毒だから、そして何より臭い…そんなに吸いたいなら火事場で煙吸ってろって感じ』

紅丸「吸わねェから小言はやめろ…」

『よしよし』

何言っても顔がニッコニコなせいで迫力がなくて思わずふざけて頭を撫でる

珍しく文句は返って来なかった

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