太陽暦184年
私は4歳になった
私の家は東京皇国にある
べつに裕福という訳ではないが生活に困ることはないし両親は平凡だが優しい人だ
変わったことがあるとすれば私には発火能力があるということ
そして……前世の記憶があるということ
たまに前世が懐かしくなることもあるけど今の生活も気に入っている
私は第2世代と第3世代の能力を合わせ持つ煉合能力者らしい
ちなみに現時点では炎で身体強化ができたり陽炎のようなもので姿を変えたり消したりできるが今のところせいぜい鬼ごっことかくれんぼくらいにしか役に立たない
(珍しくても役に立たなきゃな…頑張ればバーンズ大隊長みたいになれるかなぁ)
〜ある日の夜〜
(今日も変わりなく平凡な1日だったな、まぁせっかく子供になったわけだし毎日めいっぱい遊ぶのも悪くないけど)
母「あなた、そろそろ寝なさーい。」
『はーい、おかあさん』
父「今夜は寒いんだってな」
『もう冬か〜』
母「そうみたいね、毛布出しといたから暖かくして寝るのよ?」
『うん、2人ともおやすみー』
〜深夜〜
『うーん……うるさい…』
(今何時だろ…しかもなんかちょっと暑くない?今日寒いんじゃなかったっけ…?)
ガチャ
母「あなた!起きて!逃げるわよ!」
『おかあさん…?どうしたの?』
母「家事よ!焔ビトが出たの!」
『え……』
(今までここら辺で焔ビトなんて出たことないのに…)
父「こっちまで火が近寄ってきてる!早く逃げるぞ!」
母「あなた、早く行きましょう」
ガチャ
父「あっちに焔ビトがいるぞ!こっちに逃げよう」
『家だいじょうぶかな…』
母「すぐ特殊消防隊が来てくれるからきっと大丈夫よ」
ザザッ…
ノイズが走る
(あれ?ここは?たしか家事から逃げてたはずなのになんだろこの灰色の場所は……まるでアニメで見たアドラリンクみたい……アドラリンク…?焔ビト…?アドラバーストの持ち主が近くにいるの?まさか白装束が近くに…!?そもそもアドラリンクしたってことは…もしも私がアドラバーストならまずい!)
『おとうさん!おかあさん!もっと遠くまで逃げよう!』
母「ここまで来れば火は来ないはずよ?」
父「初めての火事に焔ビトだから怖いんだろ?」
『そうじゃないの!』
母「どうしたの?」
『いいから早く!』
スッ
(まずい…白装束だ)
父「誰ですか?消防隊の方…ではなささうですが」
白装束「その子供を渡してもらおう」
母「誘拐犯…!?」
父「早く逃げるぞ!」
ズドンッ!
カロン「ほう、こいつが新しいアドラバーストか!何でかわからんが伝導者曰く9柱目だそうだ!」
父「何だお前らは!」
カロン「俺たちは伝導者の教えに従う者だ、その子供がアドラバーストに目覚めた、アドラバーストは俺たちと共に来てもらう」
母「何を言ってるのかわからないけどあなたは連れていかせないわ!」
カロン「さぁ9柱目 あなたの名字あなた !俺たちと共に来い!」
『ことわる!』
(カロン…!それにカロンが抱えてるのはハウメアか…!?マズイ…洗脳されるわけには…そうだプラズマ!自己発火でできるだけ小さく温度の高い炎を作ってさらに炎操作で温度をあげれば小さいプラズマくらいなら作れるはず…!)
カロン「面倒だな…ハウメア、あの子供を洗脳しろ」
バチッ…
カロン「ハウメアの電磁波を弾いただと!?まぁいいそれなら力ずくで連れていくまでだ!」
『早く逃げよう!おとうさん!おかあさ…ん…?あれ…』
ボッ…
(何でお父さんとお母さんが燃えてるの…)
白装束「アドラバーストの血縁者なら適合するかもしれないと思ったがハズレか…」
カロン「まぁいい、これでもう邪魔者はいなくなったぞ、俺たちと伝導者の元へ来い!」
母「あなた…私たち…のこ…とは…い…い…から…逃…げ…」
父「早…く、逃げ…ろ…」
『おとうさん…おかあさん…!ごめんなさい…』
母「いい…のよ…」
両親は焔ビトになっても私を逃がそうと白装束の前に立ち塞がり、その間に私は発火能力で姿を消し身体強化を使って全力で走った
そして私はどこまでも逃げた
逃げて、逃げて、逃げて、逃げて…
すぐにでも家に帰りたかったが白装束が待ち構えてるかもしれない、捕まって両親の犠牲を無駄にする訳にはいかない
そしてフラフラと歩き回っているときにふと通りかかった店の中のテレビに写るニュースを見た
名前までは出ていないがテレビに写るあの場所は私の家だ…焔ビト化した両親は鎮魂され、どうやら私は死亡扱いとなったらしい
警察などに捜索されるのを避けるために白装束が代わりの死体を用意したのだろう
(泣いちゃダメだ…泣いたって両親は返ってこないし私が戻る場所はない、それにこれは私の責任でもあるんだ…私が強ければ守れたかもしれない……強くなろう…いつか白装束をぶっ潰す)
まずは生き延びる
生き延びて復讐だ
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。