森羅はまだわけがわからないという顔をしているが話を続ける
『私の話聞いたことあるでしょ?つい最近まで死亡扱いになっていたって、誰かと似てない?』
森羅「ショウも死んだはずなのに生きてるってジョーカーが…」
『うん、同じだよ』
森羅「じゃあ何でショウが弟って…」
『私は14年前に白装束に両親を人工焔ビトにされて逃げてたの、それで逃亡中に12年前の日下部家の火事のときに偶然近くにいてリンクして…それでついつい首突っ込んじゃってね』
森羅「あの火事のときに居たんですか…?」
森羅は私の姿は見てないらしい
『うん、白装束に攫われそうになっていたショウを私が横からかっさらった』
森羅「じゃあ何でショウは死亡扱いに…」
『ジョーカーは私のこと見かけたらしいけど炎に突っ込んで無駄死にした部外者か白装束の仲間だと思われたみたいでね、助けられないから死亡扱いになったんじゃないかな』
森羅「何で特殊消防隊に届け出なかっ…あ…」
『わかるでしょ?12年前には第8はなかったし、第7は自警団、他の特殊消防隊は信用がならないのを…』
森羅「じゃあ一体どこに」
『あの火事の翌日には発火能力で姿を隠して船に乗り込んで中華半島に逃げてそれから転々としてたの』
森羅「でも今ショウは伝導者の元に居るんですよ!?」
『本当は2人で細々と暮らしてシンラが消防官になって真実にたどり着いた時に皇国に帰って2人を引き合わせようと思ってたんだけど、ショウが7歳になる手前で白装束に攫われたの』
森羅「どうして!!」
私も未だにあの時にどうしてショウを無理にでも連れて行かなかったのか後悔している
『頼りないお姉ちゃんでごめん…紅丸と紺炉さんに拾われて稽古つけてもらうまでは発火能力も使いこなせなくて弱かったんだ…私がもっと強ければ』
森羅(俺も灰島の施設で能力制御に苦労したのに…なんて事を…)
森羅「あの…責めるようなこと言ってしまってごめんなさい!」
『気にしないで、それで私もすぐに皇国に戻って白装束がよく根城にしてるネザーを探し回ったんだけどね』
桜備「ネザーですか!?」
『消防隊としてだと手続きなどが大変でしょうが白装束を追うならそれも検討してみてください…話しはズレたけど、蟲とかは見つかったけどショウは見つからなくてね』
森羅「そう…ですか」
『それで13歳の時に白装束との交戦で負傷して浅草で倒れてるのを紅丸と紺炉さんに拾われたの。それからショウを取り戻すために頑張って稽古はしてるんだけどね…浅草も襲われるし中々ショウの捜索まで手が回らなくて』
紺炉「だから第8に協力したかったのか」
『うん』
桜備「それなら尚のこと第8はあなたの名字中隊長に協力しないわけにはいきませんね」
『ありがとうございます』
森羅「ショウは…元気でしたか?」
長らく離れていて最近までは生きてることすら知らなかった唯一の血縁だ、聞きたいことは多いだろう
『一緒にいた頃は誰にもバレるわけにはいかないからあまり普通の子みたいに遊ばせてあげたり友達を作ってあげたりは出来なくて苦労をかけたけど…白装束の元に居るよりはマシだったと思いたいな』
森羅「ショウはどんな子でしたか」
『サラサラの真っ白い髪に森羅によく似た赤い目とギザギザの歯をしたとても可愛らしい天使のような子だったよ』
森羅「性格は…?」
『私に懐いてくれて歳のわりにしっかりしていて約束を守ってくれるいい子だった…攫われた日も誰が来ても絶対に鍵を開けちゃいけないって言うのを守っていたから鍵を壊されて連れ去られたくらいには』
森羅「ショウを育ててくれて…守ってくれてありがとうございます」
『私が好きでやったことだから、むしろショウのおかげで寂しくなかったからショウには私の方が感謝してるくらいだよ』
森羅「それでも、俺の代わりにありがとうございます」
『本当はシンラもあの時に助けてあげられればよかったんだけどあの時は発火能力に目覚めただけでアドラバーストは覚醒してなかったから襲われることは無いと思ってショウだけ助けることにしたの…ごめんね』
森羅「俺は大丈夫です!そのおかげで消防官になろうと思えましたから」
『強い子に育ったね…これからは一緒にショウを探そう、今まで関わりはなかったけどショウのお兄ちゃんってことはシンラも私の弟なんだからこれからは頼ってね』
桜備「よかったな、シンラ」
森羅「はい!改めてよろしくお願いします!姉さん」
『うん、よろしくね』
1人の弟を通じて悪魔と破壊神の縁は結ばれた
歯車は噛み合い、時計の針は速度を上げて回り始める
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!
転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。