第100話

話をしよう
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2021/02/07 10:00
自室の前に着くと隣の部屋から紅丸が出てきた


紅丸「あなた…!話を聞いてくれ」

『ごめん、今は無理』

紺炉「日を改めてやれ」

紅丸「おい!」

紺炉「若!!」


紺炉が紅丸を引き止めている間に部屋に入って着替えを取り、ついでに手早く数日分の荷物をバッグに入れてまとめる

そして部屋から出て紺炉に声をかけた


『お父さん、行こう』

紅丸「俺は本気だぞ」

『本気も何も…そもそも私、紅丸に何も言われてないよ?』

紅丸「それは今から…」

『順番が違うでしょ、騙し討ちみたいなことして…』

紅丸「だから誤解を解こうと思ってんだろ」

『今はこれ以上話したくないから、やめて…無かったことにしてもいいから』

紺炉「行くか」

『うん』

紅丸「クソッ…」


紅丸を置いて第8の泊まっている部屋へ向かう


『あなたの名字です、桜備大隊長とシンラは居ますか?』

桜備「居ますよ、入ってください」


襖越しに返事が返ってきたので部屋に入る


桜備「他の隊員は出した方がいいですか?」

『いえ、全員ここにいて構いません』

桜備「わかりました。お前ら、話の邪魔だけはしないように頼む」


他の隊員が各々返事をする


『話は2つです、1つは消防隊としてなので桜備大隊長に…もう1つは個人としてシンラに』

桜備「はい」

『では業務の話から…これを機に第7は第8に協力しようと思っています』

桜備「ありがとうございます、新門大隊長も納得してくれたんですか?」

紺炉「ああ、若も第8は気に入ったらしい」

『ですので、まずは定期報告として紅丸か紺炉さんか私が情報交換の場に顔出すということでいいですか?』

桜備「はい」

『そして第8は人手不足と聞きました』

桜備「お恥ずかしながら…」


第8の理念はどこの消防隊とも違い、聖陽教や灰島の上層部からすれば目の上のコブでしかないのだから仕方ない


『そこで私が第8に出向したいと思うのですが』

桜備「いいんですか!?」

『はい、皇国出身で両親は聖陽教信徒だったので皇国式の鎮魂も出来ますが原国主義者に鎮魂されるのは嫌な人も多いでしょうし…現場では元が白装束以外の焔ビトを相手にするときは一般人の人命が脅かされる場合を除いてコアの破壊はしませんが』

桜備「それでも有難いです、ですが浅草は大丈夫なんですか?」

『第7は人手は足りてますし紅丸が居るので私がたまに浅草を空けたところで支障はありません、第7と第8の管区は隣接しているので緊急時は数分で飛んで帰れますし』

桜備「反対されませんか?」

『紅丸はともかく紺炉さんの許可は降りてますし、紅丸は紺炉さんに黙らせてもらいます。それに私も中隊長なので紅丸以外なら黙らせられますから』

紺炉「言い方よ…」

『桜備大隊長の許可さえ降りれば第8が帰るときに私もついて行きたいのですが』

桜備「我々としては大歓迎ですが、何かあったんですか?」

『紅丸が私にとんでもないことをしてくれたので気まずいんです、浅草は紅丸の町ですし紅丸とは部屋が隣ですから…一日でも一度も鉢合わせずに済むのは難しいですし』

マキ「乙女の敵ですか!?」

火縄「マキ…」

『ははっ…マキさんとはお友達になったので構いません、だいたいそんなものです』


マキの言葉に思わず笑ってしまう


マキ「第8に異動しちゃいましょう!!」

『異動はしませんが…しばらくの間は心の休息が欲しいんです、通常業務以外にも料理と空き時間で体術の稽古くらいなら請け負いますし』

桜備「むしろこちらからお願いしたいくらいです」

『それでは明日からしばらくよろしくお願いします』

桜備「はい!」


出向の話が決まり、次の話に移る


『それでは次はシンラとの個人的な話です、一応白装束にも関係してるので聞きたい人は聞いてください』

森羅「白装束!?」

『あなたの実の弟、そして私の血の繋がってない弟である…象日下部の話だよ』

森羅「ショウがあなたの名字中隊長の弟!?」

『だから姉さんって呼んでって言ってるでしょ?』

森羅「えぇ!?」


驚くのも無理はない、ジョーカーですら12年前の火事でショウを攫ったのは白装束だと思っていたのだから


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