うそでしょ。
こんな急に腕で掴んで
呼び止める人なんているの?
振り解こうとして
振り向き様に男の人を見た。
見上げるとそこにいたのは
ニットキャップと伊達メガネをしてる
るぅとくんの姿。
びっくりして声が出ない。
え?今日は莉犬くんとご飯じゃ…
柔らかく笑うその姿は
あの時の笑顔と一緒で
ドクンと心臓の音がやけに
大きくなったような気がした。
しどろもどろになる私に
ふふっと微笑んで
スマホを出すとるぅとくんが
貸して?って私のスマホを取って
スマホの画面を見ると
LINEが開かれていて
るぅとくんの名前が追加されてた。
そう言い残して
私に背を向けて歩き出した。
声を掛けようとするも
あっという間に人混みの中に消えてしまった。
スマホの画面に目を向ける。
LINEの友だちのところに
るぅとくんの名前が入ってて
不思議な感覚。
一瞬の出来事に驚きを隠せない私がいた。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。