金曜日。
仕事を終わらせ
帰る準備をしていると
外回りから莉犬くんが帰って来た。
フロアから出るところを
呼び止められた。
フロア出てエレベーターに乗り込む。
私、惜しいことしてる?
まさかまた誘ってくれるなんて
思ってもいなかったし。
お誘いを断るなんて
なんか悪かったかな?
うーん。
でも先にユカと約束したしなぁ。
しょうがない。
ほら、きっとまた社交辞令よ。
私があんなこと言ったから
気にしてるのかな。
借り作るの嫌いって言ったから。
でもちゃんとお礼言わなきゃ。
結局、ご馳走様って直接伝えてない。
莉犬くんには言ったけど
ちゃんと伝えてくれてるかわからないし。
お礼も言えない、誘いも乗らない
冷めた女だって。
これじゃ、莉犬くんが言う通り
中身も冷めてるって思われちゃうかな。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。
登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。