『寮』
麗日:お風呂、気持ちよかったねぇ〜!
愛騎:うん、、中学生のときから1人暮らしだったから、周りに人がいてすごい安心した!(、、、別に、家族がいたら安心してたわけじゃないけど、、)
麗日:私も高校生になって1人暮らしだったから、ワイワイできて嬉しい!
愛騎:ね!
焦凍:お。
愛騎:あ。
麗日:!!私、ちょっと用事思い出した!愛騎ちゃんは「ゆっくり」!!お話しててね!!
愛騎:ちょ、お茶子ちゃん、、、!もう、、
私の目の前にいる男、、、正しく轟くんは、私の身体をジーッと見つめてきた。
少しすると急に赤面して、言った。
焦凍:、、、風邪ひくぞ。なんか羽織れよ。
愛騎:えっ、、あ、ありがと、、
私に自分の着ていたパーカーを渡し、そそくさと私の前からいなくなった。
私はジッとそのパーカーを見る。
、、、轟くんの、服、、、か。
ま、まぁ、、轟くんの優しさだし。
こんなこと、、「あのとき」は絶対にされなかったし。
素直に、嬉しい、、、
最近、なんで私が中学2年生の記憶喪失をした後、男遊びまがいなことをしていたのか分かった気がする。
あのときも思ってた、「好かれたい」「愛されたい」という気持ち。
その気持ちの裏には、それまでの自分が誰からも好かれず愛されず、
ずっと「もの」として扱われてきたことが本当に辛かったからだと思う。
ここにいる人たちは女子も男子も皆優しい。
爆豪くんだって何気に心配してくれていたし、仲間思いなんだと思う。
理由はどうであれ、、ここにきて良かった。
私の「家出」は成功してるんだ。
私は轟くんのパーカーを着て、今日はそのまま寝た。
『翌日』
愛騎:轟くん、昨日パーカーありがとね!返しに来たんだけど、、
焦凍:おぅ、
ガチャッ
愛騎:えっ、、
焦凍:ん?
『色 っ ぽ い』
愛騎:あっ、、ぅ、、は、はい、これ!!!ちゃんと洗ってるから!!多分綺麗だから!!!じゃあね!!!
焦凍:お、おぅ、、、?
まさかお風呂上がりだったとは、、、
あーもう恥ずかしいッッ
麗日:愛騎ちゃんどうしたん?!
愛騎:へ?!な、なんでもな、、
響香:女子棟から見えたけど、昨日の轟のパーカー返してたよね。そんで、、お風呂上がりだったんでしょ?轟。
愛騎:な、なんで知って、、、!
麗日・響香:(昨日は轟で今日は愛騎ちゃんかぁ〜もうお互い好きだってこと気付いてないのかな?)
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!