焦凍side
守宮が今日退院して、学校に来る。
つまり今日から寮なわけだが、
病院で最後の検査を受けて途中から来るらしい。
そして今は、お昼休憩。
ほぼ全員がソワソワしている。
あんなことがあったんだ。
記憶喪失していた守宮に皆驚いていたが、それよりも、、
記憶喪失する前の守宮が、俺たちの知ってる守宮じゃなかったから。
もし、前の守宮じゃなかったらどうしよう。
五条さんと話しているときの守宮は、普段聞いたこともない敬語で。
しかもその声は微かに震えていた。
俺はそんな守宮を見て、、、
どう接すれば良いん、、、
ガラガラガラッ
皆:ビクッ
愛騎:おはよー!
麗日:え、、、、
皆:ええええ!!
焦凍:も、守宮、、、?
八百万:愛騎さん、、、?
ドアを勢いよく開けたのはまさかの守宮だった。
、、、良いんだが、、別に、その方が良いんだが、
拍子抜けしたというかなんというか。
そこまで暗くなっていない守宮を見て、まずは安心した。
愛騎:、、、皆、ごめんね、巻き込んじゃって。家族の問題なのに。私が耐えれば良い話だったのに。
響香:そんなこと、
愛騎:皆は優しいから許してくれるって知ってた。でも、、それだと私が申し訳ないの。しかも、私が、、ヒーローを目指した理由は皆みたいにキラキラしたものじゃない。私の周りにいるほとんどの人がヒーローを目指していたから。記憶喪失して、何もかも忘れて、、やりたかったことも忘れてしまった。なんとなくヒーローを目指して、なんとなく雄英に入って、なんとなく生活してきた。それがとても、、皆に申し訳ないの。
麗日:愛騎ちゃん、、
焦凍:それはチゲェだろ。
愛騎:え?
焦凍:お前はちゃんと、「守りたいから」ヒーローを目指してる。じゃなきゃ、USJでも、期末テストの実技でも、身を挺して他のやつを守ろうとなんかしないだろ。
愛騎:っ、、
緑谷:そうだよ守宮さん!僕たち、守宮さんに沢山助けてもらったんだ!!しかも、記憶喪失しちゃったんだから、ヒーローを目指す理由がちゃんとしてなくたって問題ないし、、これは僕の勝手な意見だけど、、記憶喪失してまで「ヒーロー」っていう職業に目が行って目指してるんだからさ、、自分が気付いてないだけで、本当は記憶喪失する前からヒーロー目指してたんじゃないかな、
切島:絶対そうだろ!!
瀬呂:じゃなきゃ「なんとなく」でここに合格なんてしないしな!
愛騎:っ、、ごめ、、本当に、ごめん、、ありがとう、、ありがとう、、、!
今までの笑顔はどこか、「作っている」ように見えた。
ただ、今、俺の目の前で笑っているその顔は、、
今までで見た笑顔の中で1番綺麗で儚げで、美しかった。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。