気づいたら11時半頃まで寝てしまっていた私は、ようやくお風呂に入り終えた。
へらへら、と笑うウソクはまるで反省していないようだ。
座って座って、とウソクに促されて私は大人しく椅子に座った。
大きな手が優しく私の髪を梳く。
ドライヤーの音とともに聞こえるウソクの声が心地いい。
ここからはもう大変だ。髪の毛を乾かす所ではない。どちらが相手の耳たぶを触るか、大乱闘だ。
むぎゅ、とウソクのほっぺをつまむとイケメンな顔が少し崩れる。
手をがっしりと掴まれ、ぐいぐいとウソクは進んでいく。あ、また私の部屋で寝るのね。
いかにも自分の部屋かのように振る舞うぞ、この男。先にベッドに入ってるし。
ツッコんでいても仕方が無いので、大人しくウソクの隣に寝っ転がる。
ウソクは怪我したところを労るようにそーっと抱きしめてくれた。
むす、と拗ねた顔のウソクが可愛くて、ついつい頭を撫でてしまう。
ウソクの長い足は、器用に私の足に絡みついて離れない。こんなスタイルに産まれたかったな〜
言っていて恥ずかしくなってしまったのか、だんだんとモゴモゴしだした。うん、だって聞いてるこっちも恥ずかしいもん。
そういって、ウソクはぐりぐりと私の首元に額を押し付けた。
む、とした顔のウソクは腹ただしそうに私に口付けをした。
そういうとウソクは何回も何回も私にキスをした。いやしすぎやて、唇取れるて。
ふにゃ、と幸せそうに笑う。
つられて私も笑う。
ウソクに応えるように大きい背中に精一杯手を伸ばして、ぎゅ、と抱きしめた。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。