深夜3時を回った頃。
痛み止めの効果が切れてきたのか、じくじくとひどい痛みが戻ってきた。
どうせ寝れもしないので、痛む体を引きずりながらキッチンへと降りることにした。
まるでゾンビのようだ。
水を求めて歩くゾンビ。いや、ほんとに体が痛くてどうしようもない。
しばらくソファに腰をかけてぼんやりしていると、玄関の扉が開く音が聞こえた。
こんな夜中に帰ってくるなんて…誰だろう?
帰ってきたのはキノだった。
夜遅くまでダンスの練習をしていたらしい。頑張るなあ。
心配そうに私のことを覗き込むキノ。ありがとうね、心配かけてごめんね。
もうここまで言われてしまっては弁明の余地はないだろう。私は大人しく白状することにした。
あの日、あのバイクに乗って私を引きずり回したのは、ハンバーガーショップで手紙を渡してきた女だった。
あなたたちはアイドルで、私はただのマネージャーなんだから。
キノはそういうと、私の頭を優しく撫でた。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。