第26話

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2019/10/14 18:04
あなた
あなた
いた、いたたた……

深夜3時を回った頃。
痛み止めの効果が切れてきたのか、じくじくとひどい痛みが戻ってきた。


あなた
あなた
水でも飲みに行くか……
どうせ寝れもしないので、痛む体を引きずりながらキッチンへと降りることにした。
あなた
あなた
あ゙ーーー………
まるでゾンビのようだ。
水を求めて歩くゾンビ。いや、ほんとに体が痛くてどうしようもない。


しばらくソファに腰をかけてぼんやりしていると、玄関の扉が開く音が聞こえた。



こんな夜中に帰ってくるなんて…誰だろう?



キノ
キノ
あれ、あなた、起きてたの!?寝なきゃダメじゃん!
あなた
あなた
キノっ!静かに!!
キノ
キノ
あ、ごめん…


帰ってきたのはキノだった。
夜遅くまでダンスの練習をしていたらしい。頑張るなあ。



キノ
キノ
やっぱり、痛くて眠れない?
あなた
あなた
うん、ちょっとね……
心配そうに私のことを覗き込むキノ。ありがとうね、心配かけてごめんね。


キノ
キノ
……あのさ、警察の人から聞いたんだ。犯人は俺たちのファンの人だったって
あなた
あなた
ああ〜、聞いてたのか…
キノ
キノ
うん。あなた、その人のこと知ってたんでしょ?
あなた
あなた
……うん、

もうここまで言われてしまっては弁明の余地はないだろう。私は大人しく白状することにした。


あの日、あのバイクに乗って私を引きずり回したのは、ハンバーガーショップで手紙を渡してきた女だった。



キノ
キノ
……なんで、なんでその手紙を渡された時に俺たちに言わなかったの?
あなた
あなた
うーん、嫉妬の対象になるなんて当たり前のことでしょう?
あなたたちはアイドルで、私はただのマネージャーなんだから。

キノ
キノ
そんな悲しいこと言わないで、これからは俺たちに相談して欲しいな。だってもう家族みたいなものじゃん
あなた
あなた
家族…確かに、家族みたいだったね笑
あなた
あなた
……あ、でも、今回のことはウソクには言わないでほしい。
キノ
キノ
え、なんでよ?きっとまた落ち込んじゃうよ
あなた
あなた
うん…でも、あの女の人多分ウソクペンの人だったんだ。だから、変な気を使わせたり気苦労を増やしたくなくて
キノ
キノ
……そっか、うん、わかった。秘密にしておくよ。安心して。


キノはそういうと、私の頭を優しく撫でた。


キノ
キノ
おやすみ、また明日。
あなた
あなた
うん、ありがとうキノ。

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