コンコン、と扉をノックしても、外から呼んでも全く反応がない。
これは完璧に寝てるな……。
プライベートな空間に勝手に足を踏み入れるのは気が引けるけど、みんなも待っているし私ももう腹ぺこだ。
そっと扉を開けると、散乱した服や靴下がまず目に入った。
相変わらずウソクの部屋は汚いみたいだ。
ミノムシのように丸まっている塊に話しかけるも、全くの無反応だ。そんなに遅くまでゲームしてたの?
寝ぼけているウソクに思い切り腕を引かれ、毛布の中に引きずり込まれた。今の私は完全に抱き枕状態だ。
あれ、この状況まずいのでは…!?
眠そうな目が私を捉えた。
ようやく意識が覚醒してきたみたいだ。
ふ、と笑うとさらに私を抱き寄せすりすりしてきた。大型犬か!!?
待ってよ、確実にファンに呪われるよ私。
何を思ったのか急に抱きしめる力が強くなった。これはもうハグではない、ただの鯖折りだ。なぜ私は朝からプロレス技をかけられてんだ。
こっちが溜息をつきたい。
腰がもうバキバキな上に極限状態の腹へりだ。
なんだ、アイス食べたかったのか。
言ってくれれは昨日オッパに全部奢ってもらったのに笑
後ろからのそのそとついてくる姿は本当に大型犬だ。かわいい。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。