帽子にメガネ、マスク……
逆に怪しい。
いざタピオカ屋の前に来てみると、予想通りの長蛇の列。さすが最近オープンしただけある………。
私たちは長い待ち時間をしりとりという非常に子供っぽい遊びでやり抜いた。
あれ、私ちゃんと乙女ゲームの中にトリップしてるよね??もしかして何か選択肢ミスってる??笑
そんなこんなで、無事に黒糖タピオカを手に入れた私たちは、大人しく宿舎に戻ることにした。
もう夕方だしね。
ちぅ、とタピオカを飲みながらウソクが頬を膨らました。
宿舎に戻ったら、ヒョンたちがきっと帰ってきてるよ、二人っきりじゃなくなるんだよ、とものすごく念を押された。
そういうとウソクは一気にタピオカを飲むスピードを落とした。おい。
そのスピードで飲んでたら夜が開けるわ。
さすがに実名はバレるかと思い、咄嗟に偽名を出してみたらツボってしまったようだ。
わからん、と言ったふうに頭をかしげる。
もちもち、とタピオカを噛む度に小さな口がもくもくと動く。
ここが現実世界ではないと知っていても、恋に落ちてしまうほどに。
真面目な顔で、大きな黒い瞳が私を捉える。
ああ……ほんとうに。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!