私は、ウソクのことが好きだ。
そしてきっと、ウソクも私のことが好きだ。
でも、私たちにはひとつ大きな問題がある。
彼はアイドルで、私はただのマネージャーなのだ。
だからこそ、今はまだこのままで……
あたたかい朝日で目が覚める。
隣にはまだすやすやと眠る美少年。
朝ごはんでも作るか、ともぞもぞ身動きをしてみるものの、ウソクにがっちりホールドされているため全く抜け出すことが出来ない。
眉を顰めてまた再び眠りに入ってしまった。
これはしばらく起きないな。
連日の疲れもあるだろうし、今日は私と黒糖タピオカを飲みに行くだけだ。もう少し寝かしておいてあげようか。
さらさらの髪の毛を優しく撫でると、険しかった顔がふにゃりと柔らかくなった。
長いまつ毛に大きな目、高くてすらっとした鼻筋。いやあ…美少年だ……
なんだか私も再び眠くなってきて、瞼を閉じた。
揃いも揃って寝坊だ。
お互いに寝癖のついた頭を見て、笑いあった。
いつも賑やかな宿舎が、今日はとても静かだ。
みんな思い思いにオフを満喫しているのだろう。
随分と斬新な曲ができてしまったものだ。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!