キノの運転する車で移動するらしく、色々と目をつけられないように私は後部座席に座った。
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………無事に事情聴取を終えた。
警察署って、悪いことをしたわけでなくても息が詰まる。やっぱり一緒に来てもらって正解だったのかもしれない。
実際にキノはとても頼りになった。
私が言葉に詰まると、すかさずフォローしてくれたし、警察官の高圧的な態度にも屈せずに事情を説明してくれた。
そして最終的にはご飯まで買ってきてくれるというパーフェクトボーイだ。
これはモテる。
いぇーい、とピースをみせるキノは、どこか女子高生のような雰囲気さえ感じさせる。成人男性なのにね。笑
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ウソクは俺の部屋に入ってくるなり、大きな体を丸めて部屋の隅に縮こまってしまった。
どよよん、という効果音がぴったり合いそうなウソクに、俺もため息をつくしかなかった。
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まあ、上手くいってるといえば上手くいっている…のか?
キノへの感謝の気持ちも込めて、私はデザートのアップルパイを半分譲った。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!