3年間着た、制服に腕を通す。
『卒業したくないなぁ』
制服を見ながら、寂しくなった。
『行ってきます。』
私は、今日大好きな中学を卒業する。
友達、好きな人、たくさんの思い出が詰まっ
た 中学校生活。
この道を、この制服を着て歩くのも、これ
で最後。ふっと、目頭があつくなった。
『おはよぉ桜! 』
『椿!おはよぉー! 』
椿と、この道を歩くのも最後なのかー。
『寂しいね。』
私と、椿は、違う高校に行く。
同じ部活で、仲がいい大好きな椿。
『桜と離れるのやだな。高校行っても、遊ん
でよ? 』
椿は、心配そうな顔で私を見つめてくる。
『当たり前でしょ!椿のこと離れてても大好きだし!』
気づいたら、もう正門まで来ていた。
『今までさ、何度もこの道を通ってきたけ
ど、今までで1番早く感じた。 』
『桜、、、。私も、同じ。今日は、いっぱい
泣いて、いっぱい笑って素敵な卒業式にしよ
ーね!思い出に残るように! 』
『うん!よし、行こう! 』
私は、椿の手を取って、正門をくぐった。
もうすぐで、中学校生活に終わりを告る。
クラスの前まで来ると、中から泣き声が聞こ
えてきた。椿と顔を合わせいっせーのせー
で、教室に足を踏み入れる。
黒板には、先生の字で
『3Eのみんな!
まずは、卒業おめでとう!
今、みんなの胸の中には、たくさんの思いがあると思う。卒業したくないな。って思ってる人や、早く高校生になりたいって思ってる人。様々だけど、最後の中学校生活を思いっきり楽しんで!最後に、
このクラスの担任を持てて本当に良かった。
ありがとう。君たちと出会った奇跡、一生忘れません。今日は、本当におめでとう! 』
気がついたら、私も、椿も涙を流していた。
先生からのラストメッセージを読み
私は、決めた。涙が収まった頃、決意を椿に
伝えた。
『ねぇ、椿?私ね、紫苑に告白する。 』
『!本当?頑張って!応援してる! 』
『ありがとう。頑張るね! 』
紫苑。3年間ずっと大好きだった人。
今でも大好きな人。
今までに、2回告白したけど、2回とも振られ
た。3度目の正直。これで、最後にする。
『桜。そろそろ並ぼ?』
『ん。』
私たちは、体育館へと足を進めた。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!