「フ~ッ!!」
「なぜ、そんなに慌てているのですか?」
「いや、だって、ずっと普通に姿が見えてる状態のままで
家の中にいられると、何か不安だし、かと言って、
突然、魔法で透明になっても、それはそれで怪しいし、
父さんも母さんも、ビックリしちゃうだろ?」
「不安・・・なぜ不安なのでしょうか?それに、
なぜ、それで驚くのでしょうか?」
アーチフィスは、この世界では
〝他の人は皆、魔法が使えない〟という事も、
そんな〝魔法が使える自分〟がこの世界では
異質である事も、
まだ知らないようだった。
(はぁ・・・アーチフィスって頭良いのに、
〝現実とゲームの違い〟だけは、
まだ理解してないんだな~)
そして、今日もまた、一緒に、歩いて学校へ向かった。
「遊舞さん、今日も、透明になって、あなたのそばにいます」
「ありがとう。じゃあ、頼んだよ」
「はい」
遊舞は、また、アーチフィスを透明にした。
〝シュン〟
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。