第15話

新しい着物
11,985
2020/07/26 00:40
甘味処のあと、
あなたの着物をあつらえるために、
呉服屋に入った。


色とりどりの反物の中から
生地を選ぶあなたはというと…
あなた
これ…素敵…

あ、こっちも素敵だわ!
義勇さん
義勇さん
……。
ゆうに、2時間は経過していた。
早く帰りたかったのだが。
あなた
義勇さん、
これはどうですか?
義勇さん
義勇さん
ああ
似合っている
正直、柄のことは
よくわからなかった。

だが、俺だけに向けられる
あなたのとびきりの笑顔を、
こうして眺めるのも…
義勇さん
義勇さん
悪くはないな…(ボソッ)
あなた
これにします!
あなたが選んだ反物は、
かんざしと揃いの、桔梗の花だった。


──永遠の愛


という意味らしい。
あなた
義勇さんが初めてくださる
着物ですから…/////
義勇さん
義勇さん
!!
そうか/////
それでそんなに時間をかけて
選んでいたのか。

あなた…

はにかむあなたが…
本当に愛おしくて…


一刻も早く、抱きたい。


想いが溢れて、止まらなかった。




ようやく屋敷に戻ってきたのは
陽が傾き始めた頃だった。
あなた
楽しかったですねぇ

それに…新しい着物
とてもうれしいです
義勇さん
義勇さん
ああ
また出かけよう
あなた
はい!
あなたが、にっこりと笑った。
あなた
着替えてきたら、
お茶、いれますね



あなたと、縁側に腰をかけて
お茶をすすった。
あなた
義勇さーん

コテッ…
義勇さん
義勇さん
なんだ/////
めずらしく、あなたが甘えてきた。

縁側に並んで座る俺の肩に、
頭を乗せてきたのだ。
あなた
幸せです…
義勇さん
義勇さん
幸せなのは、俺の方だ
俺は、あなたの頭を抱え
ひざに寝かせた。

俺のひざを枕にしたあなたが、
下から見上げてくる。

なんてつぶらな瞳…。
あなた
義勇さん、好きですよ
義勇さん
義勇さん
あなたっっ…/////
もう…限界だ。



俺は身をかがめて、そっとあなたに
口づけを落とした。
あなた
ん…/////
そして、あなたを抱き上げると
部屋へと連れて行き、ふすまを閉めた。


…外はまだ陽が高い。
だが、これから抱く──






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