チャポーン
久しぶりにたっぷり愛し合い
俺とあなたは、互いの全身を
綺麗に洗いあった。
二人で湯船に体を沈めると
お湯がザブッと流れ出た。
あなたが笑っている。
あなたは、嬉しそうに
俺のひざにチャプンと収まった。
まあ…俺も嬉しい。
あなたの腰に手を回して
ぐいっと引き寄せた。
あなたが、俺の口を
ぱくっとした。
なんだこのかわいい口は。
あなたが、俺の濡れた前髪を
かきわけて遊びだした。
されるがままの俺。
あなたが、俺のおでこを指でなぞると
小さく口づけをした。
ほっぺをふくらませると、
幼さが残る笑みだ。
だが、そこがまたよい。
まったく。
さっきから目の前を胸がちらつき、
がんばって抑えているというのに
あなたはっ…!
風呂というのは、
心も裸になれてしまうらしい。
あなたの息が止まるくらい
口を覆い、舌を吸い尽くす。
あなたの顔と体が、みるみる紅潮する。
俺を熱っぽく見つめるあなた。
俺は、あなたの首筋に
めいいっぱい痕をつけた。
俺のという印。
あなたの胸元に手を添えると、
顔をうずめて、ちゅっと吸った。
先ほどあんなにしたのに、
俺はまた…。
湯にのぼせそうになり、
ザバッと立ち上がった。
あなたは小さくうなづくと
チロッとなめてきた。
あぁ…。
俺はあなたを湯から抱き上げ、
浴槽の縁に座らせた。
するとその時…
コンコン…
窓の外に、俺の鎹鴉が来た。
任務だ……。
うそだろ!?
細く窓を開けてやる。
せめてあと10分…
いや、5分あれば…。
俺の鴉は、年寄りだから
そんなのわかるわけないな。
あなたは、手際よく
俺に、隊服を着せ、
刀を持たせてくれた。
俺は、足下をしっかりと
さらしで巻いていく。
俺は、玄関を一歩出たが、
後ろ髪を引かれる思いで
ふり返った。
俺は、日輪刀を携えると
夜の闇を駆けた。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!