第65話

【番外編】決戦後の愛<前編>
5,103
2020/12/17 07:00
~義勇目線~


無惨との戦いは終わり、
鬼殺隊は役目を終えた。

たくさんの仲間の尊い命が失われた。


俺はあなたとの約束通り、
無事あなたの元に戻ることができたが…

腕一本失うだけで済んだのは、
運が良かったに過ぎない。


…これは、最後の柱合会議の
前日の話である。


──────────────────────────────
あなた
義勇さん、本当に
切ってしまっていいのですか?
義勇さん
義勇さん
ああ
腕が片方無くては、
髪紐でろくに結うことも難しい
縁側であなたと過ごす昼下がり、
俺はふと思い立って、
あなたに散髪を頼んだ。
あなた
わたしが結いますよ?
義勇さん
義勇さん
いいんだ
伸びていただけの邪魔な髪だ

明日、柱合会議がある
これで最後になるだろうから
綺麗に整えたい
あなた
わかりました
じゃあ先にお風呂にしましょう
義勇さん
義勇さん
風呂?
あなた
切る前に髪を洗いましょう!
わたしが綺麗に洗いますから

義勇さんは座っているだけで
いいですよ!
あなたの優しい笑み。

ああ…
俺に向けられるこの優しい笑顔。

あなたはお腹に
俺との子を宿している。

また会えて本当に良かった…。
義勇さん
義勇さん
髪くらい自分で洗えねばこの先…
あなた
ふふっ
たくさんわたしに甘えてください

義勇さんの体の一部となって
ともに生きていると感じたいんです
義勇さん
義勇さん
そうか…なら頼む
甘えてと言ったな?
ならば遠慮なく甘えてやる。

鬼はもういない。

あなたと命ある限り一緒に過ごしたいんだ。
一分一秒も無駄にしたくない。
義勇さん
義勇さん
さっそく入ろう
湯は俺が沸かすから
あなた
はい!
では着替えと散髪のしたくを
してきますね


そして風呂…。

手ぬぐいを股にかけ
腰をかけると、
戸を開けてあなたが入ってきた。
義勇さん
義勇さん
待て…
あなたは脱がないのか?
あなたは、着物のまま
たすきで袖をまくっていた。
あなた
わたしは義勇さんを
洗うだけですから
義勇さん
義勇さん
濡れては困るから
脱ぐといい
あなた
そうですか?
なんか…/////
義勇さん
義勇さん
あなたと入りたい
あなた
わかりました
義勇さん、やらしいです
義勇さん
義勇さん
心外だ

甘えてと言ったではないか
あなた
言いましたねぇ…/////


あなたは脱衣所で着物を脱いでくると
俺の後ろに膝をついた。

お腹は、柔らかに丸みを帯びている。
義勇さん
義勇さん
お腹は大丈夫か?
あなた
大丈夫ですよ!

義勇さん…
あなたが俺の髪の間に指を刺し入れて、
うなじを、つっ…となぞった。
義勇さん
義勇さん
アァッ…
つい、声が出てしまった。
義勇さん
義勇さん
ッ!?何を?
あなた
すみません、思わず…/////
義勇さん
義勇さん
いや…/////
あなた
もうすぐこの髪を
切ってしまわれるんですね
義勇さん
義勇さん
長い方が好きか?
あなた
義勇さんの髪…
義勇さんがわたしの上に乗ると、
汗とともに垂れてきて…/////

たまらなく色気が…
義勇さん
義勇さん
そうか…/////
ならば切るのをやめようか
あなた
いえ、短い義勇さんも
きっと素敵です!
切りましょう!!
義勇さん
義勇さん
わかった/////
そうしよう
あなたが俺の髪を
情事の最中に、そんな風に見ていたとは…。


しまった、そんなこと考えていたら
おさまらなくなってしまうではないか/////
義勇さん
義勇さん
…どうせなら、後ろからではなく
前に座って洗ってくれないか?
あなた
えっ…/////
わかりました
俺のうなじをなぞるあなたの手首を
つかまえた。


俺の下半身にかけていた手ぬぐいは、
天を仰ぐように、そそり立ち、
行き場を失っていた。
あなた
あの…義勇さん?
義勇さん
義勇さん
腕は無くなったが
男としての情欲は保たれたままだ
あなた
はい/////
義勇さん
義勇さん
あなたのせいだぞ/////
かわいいことを言うこの口を
早くつかまえたい。
義勇さん
義勇さん
責任取ってくれ、あなた
あなた
きゃっ…/////
あなたが俺の前にペタンと座り込む。
なんてかわいい…。
義勇さん
義勇さん
座るならこの上だ
俺は、もはや意味を成さない手ぬぐいを
片腕ですばやく取り払った。



つづく…


プリ小説オーディオドラマ