第36話

拒否
8,305
2020/11/07 10:46
任務から急いで家に戻った。

今朝のあなたの涙が
頭から離れなかった。

恥ずかしい思いをさせて、
傷つけただろう…。


だが…
あなた
義勇さん!お帰りなさい!
義勇さん
義勇さん
ただいま、あなた
朝とはうって変わって、
あなたはいつも通り…
いや、いつもより元気だった。

わからない…。
義勇さん
義勇さん
汗をかいたから、
先に風呂にする
あなた
はい!
着替え置いておきますね
そうだ…
義勇さん
義勇さん
一緒に入らないか?
あなた
食事のしたくがあるので…
義勇さん
義勇さん
わかった
一緒に入って、
話をしたかったのだが…。


だがこれが始まりで、
本当に大変なのはこれからだった。


夜になってもあなたは、
にこにこはしているものの、
俺には必要以上、近づかなかった。
義勇さん
義勇さん
あなた…
俺は、布団で横になるあなたに
手を忍ばせると…
あなた
あの…
今夜はやめておきます…
義勇さん
義勇さん
そうか…
また次の日も。
あなた
なんか…
そんな気になれなくて…
義勇さん
義勇さん
どうして…
あなた
…ごめんなさい
義勇さん
義勇さん
抱きしめるだけでも…
あなた
それなら…
あなたをそっと腕に抱いてみたが、
体を固くしたままだった。

体…ではないな
心…の方だ。

女性の心と体は、密接につながっていると
宇髄に教わったな…。


また次の日も…。
あなた
ごめんなさい…
当分したくないです…
義勇さん
義勇さん
そうか…
どうすれば…。



そして10日間が過ぎた。

家に帰りづらく、
屋敷近くをぶらついていると…
宇髄さん
宇髄さん
やけに暗ぇな
なんかあったか?
義勇さん
義勇さん
宇髄…
相談…してみるか。

俺は宇髄と茶を飲む店に入った。
宇髄さん
宇髄さん
はははっ
情けねー!
ついに愛想尽かされたかぁ
義勇さん
義勇さん
そんなに笑うな
宇髄さん
宇髄さん
だって拒否されるなんて
情けねーだろ
義勇さん
義勇さん
これでも悩んでいるんだが
宇髄さん
宇髄さん
悪ぃ、悪ぃ、
そうだな…

まず、頼んでやってもらう
ようじゃだめだ
宇髄さん
宇髄さん
してって言わせるんだ
義勇さん
義勇さん
頼んでも無理なのに、
そんなの無理だろ
宇髄さん
宇髄さん
ばーか、熱くさせるんだよ
義勇さん
義勇さん
でも胸すら触らせてもらえな…
宇髄さん
宇髄さん
本当にばかだな

体じゃねぇ、口づけだよ
どんな前戯より、
最初に熱い口づけ!
義勇さん
義勇さん
口づけ?
宇髄さん
宇髄さん
嫁さんは、おまえ自身を
嫌いになったわけじゃねぇんだろ?

なら、まずは口づけをして
心をほどけ
義勇さん
義勇さん
うまくいくだろうか
なお不安がる俺に、
宇髄は、口づけの極意を
授けてくれた。
宇髄さん
宇髄さん
まず、軽くくちびるに触れて
柔らかい感触から始めろ
義勇さん
義勇さん
軽く…か
宇髄さん
宇髄さん
左右にずらしたり、
少し強めに押しつけたり、
反応を見ろ
義勇さん
義勇さん
それで拒否されたら
どうしたらいい?
宇髄さん
宇髄さん
拒否されたら無理強いするな
次の日また、口づけから始めろ
宇髄さん
宇髄さん
拒否されなくなったら
次は舌を絡めろ
義勇さん
義勇さん
舌…か
宇髄さん
宇髄さん
相手の反応を見ながら、
自分の舌を入れて刺激しろ

舌の裏側や、上あご、とかな
義勇さん
義勇さん
……/////
宇髄さん
宇髄さん
さらに、相手の舌を吸ったり、
軽くかんだり絡めたり…
義勇さん
義勇さん
口づけも奥が深いんだな
宇髄さん
宇髄さん
基本は「触れる」「吸う」
「かむ」「なめる」の四つだ
義勇さん
義勇さん
参考になった
礼を言う
宇髄さん
宇髄さん
まあ、がんばれよ!
それに、心を尽くして伝えろよ
おまえの気持ちをな

黙っててもわかってもらえないぜ?
義勇さん
義勇さん
確かにそれは大事だな
宇髄さん
宇髄さん
そうだ…
渡しておくぜぇ
義勇さん
義勇さん
なんだ?
宇髄さん
宇髄さん
薬だよ薬

長持ちさせてぇんだろ?
仲直りしたら使うといい
義勇さん
義勇さん
…/////
すまないな
俺は、体を求め過ぎていたな…。

素直に、好き…という気持ちを
あなたにぶつけてみよう…。




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