第24話

看病
10,375
2020/08/01 05:34
あなた
義勇さん、あーん
あなたは、
よく煮えた大根をふーふーすると
俺の口に運んだ。
義勇さん
義勇さん
パクッ
うまい
あなた
お熱もケガも、
だいぶよくなりましたね!
義勇さん
義勇さん
ああ
まだ少し体が重いが…

もう一口
あなた
はい、どぉぞ
義勇さん
義勇さん
(もぐもぐ…)
あなたが俺にあーんをする仕草が
とてもかわいらしくて…。
自分で食べられそうだったが
ついつい甘えた。

こういう嘘は、罪だろうか?

鬼の顔ばかり見ているからな…。
たまには、いいだろう?
義勇さん
義勇さん
もっとくれ
あなた
あーん
義勇さん
義勇さん
パクッ
あなた
他にもしてほしいことあったら
何でも言ってくださいね!
義勇さん
義勇さん
ああ
あなた
ふふ♪
あなたはなんだか、
見たことないくらいご機嫌だった。
義勇さん
義勇さん
なんかいいことでも
あったのか?
あなた
はい!
大好きな人の顔を
ずっと見ていられるんです
義勇さん
義勇さん
それはよかったな
あなたは、そう言って立ち上がると、
空になった皿を、台所へ下げていった。
義勇さん
義勇さん
…えっ!?/////
俺は、熱で頭の働きが
にぶくなったのだろうか。

あなたの言葉の意味を、
一刻遅れて理解した。
義勇さん
義勇さん
大好きな人…

俺じゃないか…/////
なんてことだ。

鬼を狩るだけだった今までの俺には、
とうてい考えられないほどの幸せだ。

特別大切な女性ヒトが、
特別大切に想ってくれる…。
義勇さん
義勇さん
ハァッ…
あなた…
スッ…

襖が開いた。
あなただ。
あなた
あれ、義勇さん?
また熱上がっちゃいましたか?

顔が赤いです
あなたは俺のそばに正座すると、
おでこに手をあてた。
義勇さん
義勇さん
……/////
あなた
んー…
まだ寝てなきゃダメですよ?
ガッ…

俺は、あなたの両手をつかんだ。
義勇さん
義勇さん
あなたっ!!
あなた
きゃっ…
どうしたんですか?
義勇さん
義勇さん
…したい/////
あなた
…熱があるのにダメですよ
義勇さん
義勇さん
してほしいことがあったら
何でも言ってと、言ったではないか
あなた
うーん…
言いましたねぇ/////
義勇さん
義勇さん
あなたとしたら
元気が出そうな気がする
あなたは真っ赤な顔で考えこむと
観念して、こちらに向き直った。
あなた
わかりました
じゃあ、私がして、、、、あげます
義勇さん
義勇さん
えっ…!?
あなた
義勇さん、寝ててください
思いがけぬ、返答だった。

あなたが…
してくれる!!??


やばい…
顔がほころんでしまう。
正気を…保てるだろうか…。


あなたは、そっと立ち上がると
窓と障子を閉め、
そっと着物を肩からすべらせた。






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