第9話

なぜ俺と?
16,429
2020/07/22 23:03
俺とあなたは、初めて体を重ね、
なかなか眠れずにいた。
義勇さん
義勇さん
思えばまだ、
あまりお互いを知らないな
あなた
そうですね…

これからは、
いろんな話をしましょうね
義勇さん
義勇さん
ああ、もちろんだ
あなたは、布団の中から、
俺に柔らかな視線を送ると、
今日一番の笑顔を見せた。

ああ…癒される。
本当にかわいい。
義勇さん
義勇さん
そういえば、
なぜ俺と結婚を?
あなた
それはですね…
あなたは、ぽつぽつと
語り始めた。
あなた
私…両親が鬼に殺されたんです
義勇さん
義勇さん
鬼に!?
あなた
私を助けてくれたのは、
鉄球を持った、体の大きな
鬼狩り様でした…
義勇さん
義勇さん
それはもしや
あなた
はい、悲鳴嶼さんです
18になるまでお世話になりました
義勇さん
義勇さん
そうだったのか…
あなた
親がいない身となり、
人様に迷惑をかけぬよう、
ただただ慎ましく
暮らしてまいりました
義勇さん
義勇さん
それで君はそんなに
控えめなんだな
あなた
そんなことは…/////
あなたに、そんな過去が
あったなんて…。
あなた
18になる時、
産屋敷様にお願いしたのです
義勇さん
義勇さん
何を?
あなた
鬼狩り様のお側で、
鬼狩り様を生涯、お支えしたいと…
義勇さん
義勇さん
なるほど
それでお館様は、
俺にあなたを紹介したのか。

待て、でもなぜ俺なんだ?

独身の柱なら他にも…
あなた
強く、気高い鬼狩り様を
お支えする…

私の人生の生きる道です
義勇さん
義勇さん
強く気高い…

ならば、俺じゃなくて
不死川や煉獄の方が
よかったのではないか?
なぜだか俺は、
同い年の強く気高い同僚に
勝手にやきもちを妬いてしまった。
あなた
あなたのこと、
悲鳴嶼さんからたくさん聞きました

とても…芯が強く、
秘めた情熱を持ったお方

そして…寂しい目をしたお方…
あなた
私がお慕いしているのは
義勇さんただ一人ですよ
義勇さん
義勇さん
俺一人…/////
あなた
お慕い…しています…
とても…
義勇さん
義勇さん
あなた…
あなた
だから…
決して死なないでくださいね
義勇さん…
義勇さん
義勇さん
ああ
約束する
あなたは、潤んだ目で
俺に口を寄せた。

髪がほほにふれ、
俺は、あなたを抱きしめた。

腕の中のあなたが
いっそう愛しく思えて、
朝までそのまま抱いて寝た。



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