~あなた目線~
錆兎さんが降らしているような、
しとしと柔らかい慈愛の雨。
義勇さんの羽織の下、
しっかり寄り添って家に帰ってきた。
帰りの義勇さんの足取りは、
行きと違ってとても軽かった。
お互いの雨滴を、
手ぬぐいでしっかりふくと、
布団をかけて温まった。
義勇さんの瞳は、
もう落ちついていた。
義勇さんの腕に包まれる。
そう。
錆兎さんがきっと、
あの野原で、禰豆子ちゃん達に
引き合わせてくれたんだ。
義勇さんの不安を
払拭するために。
義勇さんが私を抱く腕も、
力強さを取り戻している
あれ…って何かしら?
えっ…
話聞いてます!?
あ…あの…義勇さん?
義勇さんの目が、
本気だと物語っている…。
そもそも冗談なんて
決して言わない人だもの。
ということは…。
どうやら…
5時間近く私は、
抱かれっぱなしになるらしい…。
む、無理よね!?
体どうなっちゃうのっ…。
義勇さんのたくましい胸に
引き寄せられると、
すさまじい鼓動が聞こえた。
やっぱり本気なんだ…。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。