第57話

里の夜
6,772
2020/09/09 07:00
俺とあなたが服を着て
温泉から出ると、
甘露寺が誰かと話しているのが見えた。
蜜璃ちゃん
蜜璃ちゃん
大きいね~
何の呼吸使うの?
隊士
隊士
……/////
蜜璃ちゃん
蜜璃ちゃん
何歳ですか?
名前なんて言うの?
隊士
隊士
……/////
男は、甘露寺に話しかけられて
完全に硬直している。

まあ…気持ちはわからなくもない。
義勇さん
義勇さん
隊士のようだが…
あなた
ふふっ
純粋そうな隊士さんですね

なんかどこかで…
義勇さん
義勇さん
知り合いか?
あなた
いえ…

あっ!!
不死川さんですよ!
義勇さん
義勇さん
不死川!?
あなた
あの目つきに、体格、
不死川さんにそっくり!
義勇さん
義勇さん
言われてみればそうだな
確か、弟がいると
他の者から聞いたことが…
あなた
他の人?
義勇さん
義勇さん
ああ
本人は、弟などいないと
言っているが…
あなた
なるほど…
きっとわけがおありなんでしょうね…
義勇さん
義勇さん
だな…

あの隊士が
不死川の弟かはわからないが
あなた
きっと弟さんですよ!
まあ…
俺がそれを不死川に聞くことは
ないだろう…。



***

そして、宿の夕食。

やはり先ほどの声は炭治郎だった。
炭治郎
炭治郎
義勇さんたちも、
いらしてたんですね
義勇さん
義勇さん
ああ
蜜璃ちゃん
蜜璃ちゃん
おいしいー!
あなた
蜜璃ちゃんすごいね!

相変わらず、
気持ちいい食べっぷり!
蜜璃ちゃん
蜜璃ちゃん
そうかな!
甘露寺は、松茸ご飯や焼き魚、
里芋の煮付けなんかを、
あっという間に平らげていく。

確かにすごいな…。
炭治郎
炭治郎
皆さんが温泉で会ったのは、
不死川玄弥という、
俺の同期でしたよ
蜜璃ちゃん
蜜璃ちゃん
そうだったの~
あなた
なるほど~
あなたの読みが当たりだ。

ほらねっ!と言わんばかりの顔で
あなたが俺の方を見てくる。
義勇さん
義勇さん
兄に似て、
無愛想な男だったな
あなた
義勇さん、言い方!
義勇さん
義勇さん
すまない…
蜜璃ちゃん
蜜璃ちゃん
ふふっ!仲良しね!
義勇さん
義勇さん
いや…まあ…/////
まったく。
俺はいつもあなたには、かなわない。
あなた
禰豆子ちゃ~ん♡
あなたは、禰豆子をぐりぐりして
じゃれている。

あーかわいい…。
炭治郎
炭治郎
すっかり禰豆子は、
あなたさんになついていますね
あなた
も~、かわいくって♡♡
ぐりぐり~
あなたの方がかわいいぞ。
義勇さん
義勇さん
あなたは、ご飯もういいのか?
あなた
それが…
なんか匂いで、変に吐き気が…
義勇さん
義勇さん
吐き気?
大丈夫なのか!?
あなた
今までそんなこと
なかったんですけど…

そのうちよくなりますよ
蜜璃ちゃん
蜜璃ちゃん
あなたちゃん、
それってもしかして…
甘露寺がそう言いかけると、
ご飯を運んでくれていた
里の女性が…
里の女性
おめでた…じゃないでしょうか?
義勇さん
義勇さん
おめでた??
里の女性
赤ちゃんですよ
ご懐妊されたのでは?
あなた
えっ…!!
蜜璃ちゃん
蜜璃ちゃん
きゃーあなたちゃん!
あなた
そういえばこのところ
月のものが…
義勇さん
義勇さん
あなたっっ…!!!
あなた
きゃっ…義勇さんっ…
ぎゅっ…

人目もはばからず、
あなたを抱きしめた。


あなたがお腹に
俺の子を宿して…!!??

…うれしすぎるっっ!!
里の女性
あらあら~
炭治郎
炭治郎
義勇さんよかったですね!
あなた
まだ、わかりませんよ/////
蜜璃ちゃん
蜜璃ちゃん
きっとそうよ!
帰ったらしのぶちゃんに
見てもらいましょう
義勇さん
義勇さん
あなたと俺の子…
感極まって、涙が出た…。

あなたのお腹から目が離せない。
あなた
義勇さん、
泣いているんですか?
義勇さん
義勇さん
……/////
あなたが、俺の頭をそっと胸に抱いて、
優しくなでてくれた。
蜜璃ちゃん
蜜璃ちゃん
炭治郎くん
炭治郎
炭治郎
はい、甘露寺さん
気がつくと、
皆が気を利かせてくれて、
部屋は俺とあなたの二人だった。

ようやく泣きやんだ俺が顔を上げると
あなたも泣きながら、ほほ笑んでいた。

義勇さん
義勇さん
産んでくれるか?
あなた
もちろんですよ
義勇さん
義勇さん
あなた…
愛している…

これまでも…
これからもずっと…
あなた
はい…義勇さん

私もずっとずっと
お慕いしていますよ…
その晩は、これまでで一番、
優しく…
これ以上ないほど優しく…
あなたと交わった。

あなたのお腹を守るよう
精一杯の優しさで抱いた。


今までで一番、幸せな夜だった…。



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