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第29話

深夜のカロリーは罪と背徳感の味
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2026/05/15 08:47 更新
ギシ……ギシ………



暗く静かな兵舎に響く。



え?今何をしているかって?
そりゃあおめぇ、深夜の飯に決まってらぁ!!!!

この時代の飯、それも兵士の飯なんてものはガッチガチに管理されていて間食なんてしたら即刻罰される。


俺だって怒られたくない。でも今回はそうするに至った経緯があるのだ…
あなた
はぁ、食事を共にしたいと……
花澤少尉
兄様と……夜食でもいいんだ。
花澤少尉
どうか話題に出すだけでも、あなたの名字軍曹……
あなた
そんな、頭を下げないでください花沢少尉!
あなた
あなたに頼まれたからには、しっかり話をつけてきますよ!
花澤少尉
本当に?!ありがたい……
花澤少尉
もしよければ、あなたの名字軍曹も同席してくれないか?
あなた
えっ、私もですか……?
花澤少尉
あぁ、兄様……尾形上等兵とは、少し……対面で話しづらくて
あなた
わ、わかりました。
そういうことでしたら同席いたします。
花澤少尉
重ねて申し訳ない……
花澤少尉
予定が立てば、私なりに美味しいものを用意しよう。
楽しみにしていてほしい。
あなた
百之助、飯行くぞ
百之助
……
いつだ、お前とサシか?
あなた
お前言うなし。
俺とお前と、花沢少尉だ。
百之助
俺は忙しい
あなた
さっき行くつもりだったろ???
せめて飯だけでも!!うまいやつらしいから!
百之助
いらん
あなた
俺もなんか作るって!!!
百之助
……
どんなやつだ
あなた
えっなんか……こう……
う〜ん……
百之助
帰る
あなた
まって!!!!!
あなた
あれだ!!兵舎近くのうどん屋さんからうどんもらって、それを俺なりに色々アレンジするから!!!
百之助
……なにが入ってる
あなた
え?
うどんもらうついでに天かす、肉大量?
百之助
……
百之助
…………
行ってやらんこともないが、飯がまずかったら帰る
あなた
ッッッッシャア!!!!
というわけです。



そんなこんなで思い出しつつもどうにか食堂にたどり着き、花沢少尉の権限で空いているだろう扉を開く。




いつもなら兵士がごった返しているというのに、今では嫌に静かでがらんとしていた。

いつもは気にならないような寒さが身に沁みて、それを振り払うようにキッチンに向かった。




まだ少尉も百之助も来てないようなので都合がいい、ぱっぱと作ってしまおう。

まずは自腹で買った鶏の胸肉、豚肉をそれぞれ処理していく。

胸肉はじっくり火を通して、豚肉は焼いた後に醤油みりんのタレにつけておく。

うどんを5玉ほど沸かす。オレが食べたいから!!!!

出来上がったものに天かす、それぞれの肉をドドンと盛り付けたら……


完成!あなたの名字の腹ペコうどん!!

見栄えを気にして端っこに寄せられた山のような豚肉と2枚の胸肉をみて、早く2人が来ないものかと思ったその瞬間、扉がギギギと音を立てて開いた。
百之助
……
食わせろ
あなた
よし来た、静かにドア閉めろな
席についた百之助に、音が鳴らないよううどんをお出しすると「馬鹿なのか」という目線で見られた。

もしかして俺が食堂の材料で作ったと思ってんのか……?


ズルズルと小さく、少しずつ暖かいうどんを食べていく。


肉に齧り付いて、飲み込んで、一言。
百之助
悪くない
そう言って再び静かに食べ始めた百之助に、俺はニヤッと笑って静かに言ってやった
あなた
これでお前も共犯だな!!
百之助
……
は……?
あなた
それどこで作ったと思ってる?
花沢少尉の権限で開いてても、使うの許可されてるかわからんし。
あなた
あと普通にこんな時間に飯食べていいわけないだろ。
百之助
……
嵌めたな。
あなた
食堂を清掃していた俺は、勝手に入ってきたお前に、俺用に作ったうどんを前に置いただけだぞ?
百之助
………
なんかめちゃくちゃに怒ってそうな百之助の目線を感じつつ、「麺伸びるぞ」と急かして食べさせる。

そんな最中に、またもギギギと小さく扉が開く。
花澤少尉
あ……こんばんわ、兄様。
それからあなたの名字軍曹も、夜遅くにありがとう。
花沢少尉の姿を認めた瞬間、尾形がもう十分だと言わんばかりに立ち上がってはその場を離れようとしていた。
あなた
百之助、完食しねぇと殴るぞ
百之助
……
…………
少し思い悩んだようにしてから恨みのこもった視線とともに着席した尾形と、またしても何も知らない花沢少尉が並んだ。
あなた
こんばんわ花沢少尉。
よろしければこちら、お口に合えば……
と言葉だけの慎ましさを見せて、例のうどんをお出しする。
花澤少尉
こ、れは……
……いただきます。
少しばかし悩んだあと、時計をちらっと見て手を合わせた。

そのタイミングで、尾形に目線で合図を送る。


尾形は一瞬戸惑って……そして理解して、二人同時に言ってやった。






「これで貴方も共犯ですね」
月島
…………
起きろ、大馬鹿者ども
あのあと、花沢少尉の手土産共犯の証で一杯……いや五杯?

わからないけどたくさん飲んで食って、結局証拠隠滅もせずその場で雑魚寝をかました。
(花沢少尉は机に突っ伏してたケド)


でも怒られたのは俺と百之助だけだった。
なんでやねん。

因みに5玉のうち2玉は尾形、花沢少尉に、のこった一玉だけが俺の分だった。
かなしかったです。

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