第6話

出会い
167
2019/11/03 14:13
秋山英紀
秋山英紀
うまいじゃん。これならうちの高校入っても大丈夫だ!
そう言いながら、無邪気な笑顔であたしの頭を少し乱暴になでる。
私
……あ……はい、どうも……
あんなに張りきっていたくせに、緊張のせいでうまくしゃべれない。この感情を、どう表現したらいいんだろう。
「ビビッときた」なんてよく聞くけれど、もっと大きななにか。
「恋に落ちた」なんて、甘い言葉も似合わない気がした。
表現の仕方がまったく思いつかない。
こんな感情を抱いたのは初めてだから。
……この人が、ほしい。
一瞬 目が合っただけで、あたしはもう釘づけだった。
〝秋山〟に不思議そうな顔で見られた時、やっと目をそらすことができた。
ぶんちゃん
あなた?
あたしの名前を呼ぶぶんちゃんの声にも反応できなくて、聞こえるのは、自分の激しい鼓動だけ。
時間が止まったような気さえした。
顔だけじゃなく、全身が熱い。きっと今、顔真っ赤だ。
……こういうの、なんていうんだっけ。
ひと目ボレって、いうのかな……。
大げさかもしれないけれど、運命さえ、感じた気がした。

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