第7話

出会い
150
2019/11/03 14:36
つい何時間か前に通ったばかりの道。それなのに、帰りは懐かしさまで感じるほど久しぶりな気がした。
私
ぶんちゃん、あなたヤバイわ。超ヤバイです
行きと同様、自転車の荷台にまたがり、ぶんちゃんの学ランをしつこく引っ張りながら言う。
朝よりは暖かいけれど、やっぱり膝がヒリヒリする。
ぶんちゃん
あなたんとこに来た人でしょ?かっこよかったよね
……やっぱりバレてる?さすがぶんちゃん。
私
なんでわかったのさ
ぶんちゃん
いや、あからさまに動揺してたし、めっちゃ顔真っ赤だったよ?そりゃわかるって
やっぱり。〝秋山〟にもバレてたかな……。
私
……だって、ヤバかったんだもん
引っ張る力を弱め、口を尖らせながらうつむいた。
まだ少し顔がほてっている。
ぶんちゃん
よかったじゃん。また会えたらいいね
私
……うん
うつむいたまま、ぶんちゃんの小さな背中に額をあてる。
後ろにいるから表情は見えないけど、ぶんちゃんのことだから、優しく微笑んでいると思った。ぶんちゃんは本当に優しい子だから。
家が近いわけでも、親同士の仲がいいわけでもないふたり。けれど、小学校の頃からなにをするにも一緒で、いつも隣にはぶんちゃんがいた。
私
連絡先とか聞けばよかったぁ
ぶんちゃん
んな余裕なかったじゃん
今ズキって音しなかった?
図星をつかれて、言い訳すら浮かばない。
私
……まぁ、そうとも言うよね
坂道を下りきったところで赤信号に引っかかり、突然止まった勢いで、あたしはぶんちゃんの背中に軽く頭突きをした。
ぶんちゃん
まぁ、この高校入ればまた会えるって!だから頑張ろうな
私
……気が向いたらね
ぶんちゃん
またまたー
前向きなぶんちゃんに、照れかくしは通用しないらしい。
信号の色が変わると、少し髪が揺れた。
ぶんちゃん
今度こそ、まともな恋愛しなさい!
『まともな恋愛しなさい』
ぶんちゃんの口癖。そのひと言だけで、たくさんの想いが伝わってくる。
心配してくれてありがとう。
私
はあーい。あなた頑張るね!
〝秋山〟と同じ高校に行きたい。
もう一度、会いたい。

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