第15話

13話
85
2020/03/13 21:00
彼女は、強かった。
俺に対しても、誰に対しても。


強く、怯まず、立ち向かう。


その掛ける言葉は、厳しくとも、本当のことで。


それって、心の芯から優しくないと、


出来ないことじゃない?
次こうなるからしない。


後で影で言われるから、


いじめられたらどうしよう。


なんてことはその次に考えることで。
思ったことを言っていた。


その姿が、めちゃめちゃカッコ良くて。
皆は上から目線だ、言葉が強すぎる、


なんでアイツから言われなきゃいけない。


って言うけれど、


真面目って、すげぇカッコいいと思うんだ。


見てないとこでも頑張って、


自分の仕事を聞く前に、探す。


そういうことって、当たり前で、簡単だけど、


誰もが忘れてしまうことで。
その姿をなぜ笑う?


なぜ批判する?


そんなの、彼女よりしっかりやってから言えよ。
臆病者、って言ってやりたかったけど、


それは俺も同じだ。


思っていても、口に出せない。


いつもならスラスラと出てくる言葉だって、


彼女の前じゃ、全く機能しない。



俺が、彼女を追いかけて門の外に出ると、


知らぬ男に腕を掴まれていて。


気付いたら声を掛けて、助けていた。


彼女は、なぜ助けるんだ、みたいな顔してたけど。


好きな女の子を助けるなんて、


当たり前の当たり前だよ?
震える手と口を隠すように、


「大丈夫」だというけれど。


無理があるよ、彩夏ちゃん。
それでも笑顔を作ろうとする君に、


涙すら出かけた。


だから、君に。


俺は君に、殻を破れと助けてもらったから。


今度は、俺の番だね。


精一杯、好きに笑ってほしい。


純粋に願うこと。


例えその隣にいるのが俺じゃなかったとして、


それでも、笑顔なら。
そして、驚くべきことがあった。
かの有名な脱力系イケメンの香川くんと、彩夏ちゃんが、


いとこだというのだから。


い、いとこ!!


何となくその距離感も分からなくない。


少し安心して、恋を出来ると思った。


もしかしたら、君を笑顔にする人は、


君の隣に居れる人が、俺だって、


良いのかもしれないと。
気が抜けた、凄く。


嬉しくてだろうけど。
きっと〝好き〟だって伝えたら、


君は引くかな。


〝気持ち悪い〟って、吐き捨てられるかな。


いや、もしかしたら少し喜んでくれるかも!


あぁぁ、とにかく彩夏ちゃんのお相手が居ないことが分かって、


めちゃめちゃ頑張れる気がしてきた!!
どれだけ拒否されたって、きっと君は優しいから。


観念してくれるまでやるからね!


当たって砕けろなんて言うけれど、


当たって、砕けて、また拾って、くっ付けて。


また当たれば良い!


砕けることが出来るなら、拾うことも出来る。
戸関 涼
戸関 涼
彩夏ちゃーん!
蝶矢 彩夏
蝶矢 彩夏
…げ。
いつか君が、俺を〝好き〟と言ってくれるまで。


我儘で、ごめんね。

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